逆ツリー

 

「妹かぁ…」

「えっ…」

隣を歩く祐巳さまがため息とともに漏らした一言に、瞳子はギョッと硬直した。

「ん?」

その視線に気付いのか、祐巳さまが振り向いたので、瞳子は慌てて視線を逸らした。

「うーん…」

祐巳さまが、胸元からロザリオを引っ張り出して、難しい顔でうなっている間、瞳子はじっと下を向いて、徹頭徹尾、無関心を貫いた。

 

 

深い意味はない。

そうだ、この人のすることに、いちいち深い意味などないのだ。

真意を探ろうとする者の方がバカを見るに決まっている。

そうしていつも、無防備な顔で私を動揺させる。

「………?」

いつの間にか、祐巳さまの視線が自分の横顔に注がれているのを感じた。

思わず立ち止まる。祐巳さまも足を止める。

 

 

「…瞳子ちゃん」

「っ…なんですか」

できるだけ平常心を保とうとしたのだが、声帯は瞳子の意に反して、ひっくり返っていた。

「ゆ…」

耳が熱い。

祐巳さまの視線を感じるのに、視線を上げることができない。

視界の隅に、近付いてくるロザリオがちらりと見えた。

 

 

そっ…。

 

そして、祐巳さまはロザリオをくくりつけた。

瞳子のお下げに。

「―――――っっ!」

ダッ!

「あっ、瞳子ちゃん?!瞳子ちゃーーーんっ!」

ぶるるんぶるるんっ(←ロザリオ付いたまま)

 

祐巳「あの髪を見てたら、つい…」

2004.12.25

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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