おこた |
「な……何事ですの、これは」 ある放課後、薔薇の館の2階を訪ねると、見慣れたテーブルがなかった。 代わりに、随分と低い位置に、四角い物体が。
ガチャ。 「あっ、瞳子ちゃん!いらっしゃい。今日もさむいねー」 「ごきげんよう、祐巳さま。…いえ、そうではなく!この状況を見て、ほかに言うことはないんですか?!」 気付いてニブイ人、とばかりに半泣きでえいえいっ、と四角い物体を指さす。
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「え?ああ、やっぱり寒いときはおこただよね」 そうではなく。 「こんなところにこたつがあることに、不自然さを感じないんですか?!」 「そういえばそうだね」 わからない…本当にこの人のことだけはまったく理解できない。 瞳子は頭を抱えた。
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「でも、困ったな」 「…そうですわね」 今ごろ気付いたんですか。 「これじゃ、靴を脱がないと入れないよ」 「何に困ってるんですか!そういう問題じゃありませんっ」 「でも、目の前にあると入りたくならない?」 「なりませんっ…って、言ってるそばから靴を脱がないでください!」
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「わぁー…あったかぁい。ねぇねえ、瞳子ちゃんもおいでよ」 「うがぁーっっ!」
…でも、最終的には入る瞳子だった。
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ぬくぬく。 |
2005.1.13 |