「原稿できた人から持ってきて。」

文化祭翌々日の放課後、新聞部の部室は異様な熱気に包まれていた。
それもそのはず、明日の朝一番で発行する"リリアン瓦版文化祭特別号”の製作の真っ最中であった。

「はい。それじゃ私のを御願いします。」
１年生のひとりが勢いよく手を上げた。

　

　

「えっと…。う…ん。なかなか面白くかけてるじゃない。でもね何かもうひとひねりほしいわね。」

「ちわぁ…真美さん、がんばってる。」
「まぁね。あ、そうだ。この記事に使えそうな写真あったわよね。」

「ん？あぁ〜。これ一年椿組ね。それだったから、これなんかどう？」
それは、数珠リオを選ぶ白薔薇とその妹の淡い2ショット写真だった。

「いいわね。基督教徒と仏教徒だし、テーマにぴったりだわ。早速この線で原稿を修正して。」

　

　

その後、部員の原稿のチェックと写真を割り当てをてきぱきと終えると、
「それじゃ、私は蔦子さんと写真の交渉に行って来るからそれまでに原稿仕上げておいてね。」
といって蔦子さんを伴ってさっそうと部室を後にした。

「真美さん。さっきの１年生、この前の子よね。」
「え？」
「ほら、祐巳ちゃんの妹候補の可南子ちゃんに突撃インタビューした…。」
「ああ…。」
「なかなか良い記事書くじゃない。」
「まぁ…ね。まだ荒削りだけど、いいわよ。」

　

　

「真美さんの妹候補？」
「え？」
「またまた、とぼけちゃって。」
「蔦子さん。な、何かんちがいしてるのよ…」
珍しく真美さんがどもってる。これは本物か？