トラップ |
「…何してるの、二人とも」 入って来るなり、由乃さんはあきれ顔で言った。令さまも、部屋の真ん中に置かれたコタツに、さすがに困惑気味。 「ああ、由乃さん。ごきげんよう」 瞳子ちゃんと向かい合って緑茶なんかすすってる祐巳がのんきに挨拶する。 「緊張感ないな…。この異様な光景が、普通に見えてくるわ。…よいしょっと」 「って、入るんだ由乃」 令さまがツッコミ。
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「あら、瞳子ちゃん。ずいぶんと静かなのね」 「…ええ。なんかもー、どーでもよくなってしまいまして」 すでにあきらめの境地に入っているようだ。 「なるほどね。…で、なんなの、この有り様は」 しっかり掛布を肩までたぐり寄せる由乃さん。 ぬくいぬくい。 「ああ、実はね。江利子さまの差し入れみたいなの」 「!!」(すざっっっ)
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その瞬間、尻尾を踏まれた猫並みの勢いで、コタツから緊急離脱する由乃さん。 「江利子さまですってっ?!」 即座に掛布やらをバッサバサとめくり上げて、点検を開始する。 「ど、どうしたの由乃さん」 「トラップよ!」 「…は?」 「これは江利子さまのワナ!いいえ、そうに決まっているわっ」
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「か、考えすぎだってば…」 どうやったら、コタツで罠を仕掛けられるんだろうか。 「何のんきなこと言っているのよ、祐巳さんは!あの江利子さまが、意味もなくコタツなんて送りつけてくるはずないじゃない!」 「普通、意味があっても贈らないと思いますけれど…」 「きっとまた、『例の約束』を突っつく、巧妙で嫌味な仕掛けがしてあるに違いないのよ…」 「あの…由乃。例の約束、って?」 「令ちゃんには関係ない話よ!ちょっと黙っててっ」
「…由乃さん。令さま、泣いてるよ」
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ウチの令さまの黄金パターンになってきてるなぁ(^^;。 |
2005.1.15 |