ダブル・トラップ |
「おかしい…これだけ探しても何も出てこないなんて…」 掛布どころか、いったんすべてを引っぺがし、台をひっくり返してみたものの、それは何の変哲もないコタツだということが分かっただけだった。 どうする、名探偵由乃! 「関係ないって…由乃が関係ないって…」 「あの…黄薔薇さま。そんなところで体育座りをしていると風邪を引きますわ。せっかくですからコタツにお当たりになって…お茶を煎れましたから、よかったらどうぞ」 前回から放心状態の令さまを見かねて、瞳子ちゃんが声をかける。
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かいがいしくお茶を用意する瞳子ちゃんを祐巳はニコニコして見ている。 「優しいんだ、瞳子ちゃん」 「べっ…別に、私はただ…!」 その瞬間、カップがつるり。煎れたて煎茶、令さま直撃。さらに追い打ち。 「すっ、すみませんっっ」 「…いいのよ。私って、こういう星の下に生まれてきたんだって、最近思ったり思わなかったりするし…」 すっかり悟りを開いていた。 由乃がちっとも気にしてくれないのが、一番心に寒い。
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「…あれ」 ふと、「可愛い妹たちへ」と書かれた付箋が目に止まった。 「これ、お姉さまの字じゃないわよ」 「「「ええっ?!」」」 「た、確かなの、令ちゃん?!」 「うん。私が言うんだから間違いない」 由乃が構ってくれたので、無条件に嬉しそうな令さま。 「じゃあ…これは一体誰が」 謎は深まるばかりだった。
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……… 「っていう感じで、今ごろさらに疑惑が深まっているはず」 薔薇の館に双眼鏡を向けながら、語り合う某・黄と白のお方。 「それにしても、書き置きを代筆するなんて、さすがね。そちも悪よのぅ」 「いやいや、お代官さまほどでは…ふっふ」
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あ…、悪魔超人コンビだ。 |
2005.1.16 |