紅薔薇裁き

 

「通りがかりに、外の物陰で悪代官悪徳商人を見つけたんで、しょっ引いて来たんだけど…」

過剰な愛情と天然ボケ、対抗心と嫉妬が入り交じって混沌とした室内を見渡して、水野蓉子さまはため息をついた。

「収拾がつかなくなってるわね」

両手に襟首をひっ掴まれた黄と白のイタズラ猫が、身体を丸めてにゃーと鳴く。

「さて、聖。江利子?」

「やだ蓉子、そんなに怖い顔しないでよ。後輩思いのちょっした茶目っ気じゃない」

「そうそう」

ぴくぴく。

 

 

「茶目っ気で学校の備品を勝手に動かす人がいますか!テーブルはどうしたの、テーブルは!」

「い、一階の多目的スペースに…」

「そう。じゃあ、コタツを撤去して、テーブルを元に戻してちょうだい。それと、ついでだから薔薇の館中の掃除もね」

「こ、これから?」

「なんで掃除まで…」

「あら(にっこり)。可愛い後輩たちのためなんでしょう?…さっさとやる!

こうして、薔薇の館コタツ殺人事件はあっけなく一件落着した。

 

 

「先代の薔薇さまって、みなさま変わってますわね」

「あ、あはは…」

並びかけた祐巳を振り切るように、瞳子ちゃんは歩みを早めた。

「祥子お姉…紅薔薇さまとお帰りではなかったのですか?」

「お姉さま、寄るところがあるんだって」

「あら、それは残念でしたわね」

瞳子ちゃんの反応ははにべもない。

 

 

「そういえば、今日は何の用事だったの?」

「…別に。大した用ではありません。祐巳さまがお気になさることではないですから」

頭の両脇で揺れる縦ロールも、いつもよりツンツンして見える。

「…えいっ」

祐巳はマフラーの片側だけを解いて、瞳子ちゃんの首に巻き付ける。

「な、なにを…っ」

「首筋が寒そうだったから。あったかくない?」

「…苦しいだけです」

ぷい。

双子の影が長く伸びて、薄暮の光が瞳子ちゃんの横顔を赤く染めていた。

 

結局、祐×瞳オチかよ!…ってツッコミは不許可(笑)

2005.1.19

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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