うずうず |
「1年の支倉令ちゃんって、素敵ねぇ」
帰り支度をして廊下を歩いていたら、ふとそんな話し声が聞こえてきた。 「ボーイッシュというより、ほとんど男の子みたい」 「それも、とびきりの美少年!」 「まあ、はしたないですわ」
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「クリスマスも近いことですし、マフラーでも編んでプレゼントしてしまおうかしら」 「でも、マフラーだなんて軟弱なもの受け取ってくれないかもしれなくてよ」 きゃーっ、と嬌声が上がった。 「あっ…江利子さんよ」 「黄薔薇のつぼみ…」 そこで、彼女たちは初めて私の存在に気付いたように、互いの肘をつつき合って、気まずげにひそひそと話し合う。
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さすがに、姉の前で堂々と妹にアタックをする算段を話し合うのは気が引けるらしい。 「ごきげんよう」 しかし、私は何も聞いていなかったかのように、にっこりと笑った。 「ご、ごきげんよう」 「また明日、江利子さん」 彼女らの声を背に、マフラーを翻して、ゆっくりと歩き出す。
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うずうず…
ああ、言いたい。 言ったら彼女たちはどんな顔をするだろう。 今、首に巻いてるのが、令の手編みのマフラーなのよって。
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でも、バラすと面白さ半減なので言わない人。 |
2005.1.23 |