誤用 |
「なんか、信じられませんね。黄薔薇さまも紅薔薇さまも、ずっと上級生だったみたいに見えますから」 そう言って、乃梨子ちゃんはため息をつく。 何か腑に落ちないものを覚えて、由乃さんは首を傾げた。 「乃梨子ちゃん。参考までに聞きたいんだけれど、令ちゃ…うちのお姉さまと祥子さまに、どんなイメージを持ってるの?」 乃梨子ちゃんは目をしばたたかせる。
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「え、イメージですか?そうですね…まず、すごい貫禄ですよね。あと、とても同じ高校生とは思えない落ち着きと。なんでもできちゃう行動力に…」 指を折って数える乃梨子ちゃん。 「同級生なんかは、ほとんど神格化してますよ。声をかけるのも畏れ多いって感じで、遠巻きに見ているだけの子がほとんどですけど」 「はー…」 祐巳も一緒になって感心する。自分たちが一年生の時、蓉子さまたちに感じていたのと同じような感想を抱いているんだ。
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祐巳と由乃さんは、思わず顔を見合わせた。 その瞬間、お互いの脳裏に浮かんだのは… 「祐巳さんのタイを直してはデレデレしている祥子さま」 と、 「プリプリする由乃さんの後ろをオロオロついて回る令さま」 …の姿。 「「うーむ…」」 どうも、今ひとつ乃梨子ちゃんの言う「イメージ」と一致しない。
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ぽん。 「そうか、分かったわ」 「え、何が?」 「のど元過ぎれば熱さ忘れるってわけね」 「それは…(汗)」
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令「せめて灯台もと暗しぐらいは言ってよ…由乃ぉ(泣)」 |
2005.1.25 |