ブゥトンと薔薇(3) ブゥトンじゃなくて豚よ!!編
「貴方は豚よ。ブゥトンじゃなくて豚!!」 お姉さまに上から見下ろされて… それどころじゃないのに… それでもやっぱりお姉さまは美しくて… 「さあ、自分でおっしゃいなさい。これじゃあ、まるで私が強制しているみたいじゃないの?」 お姉さまの顔は険しい。 いつだったかの、志摩子さんの言葉を思い出した。 「あの方は天邪鬼なのよ。」
だから、私は… どんな時だって、こんなに険しい表情をされている時だって お姉さまのことを想うことが出来る。 それは理由があっての厳しさだから…
「わ、私は豚です。」 精一杯微笑んでそう言った。 皆に私の意志からの言葉だって分かってもらわないと… お姉さまが強制したのではなくて… 私が望んで選んだ『豚』なんだって… そう、お姉さまをフォローするのが妹の役目。 だから、私は豚。 ブゥトンじゃなくて豚。 「そう。それじゃあ、…」 お姉さまの険しい視線は然るべき場所に向いて… その視線の先にある人は自分の役割をやっと思い出す。
「ぶ、豚丼二丁」 「…豚丼二丁」 吉○屋の店員。 カウンターと厨房の二人がお姉さまの迫力に気負されながら、注文の確認をする。 今更、言えない。 『豚丼』じゃなくて『鮭イクラ丼』が食べたかったなんて… お姉さまが『牛丼』を食べてみたいからお連れしたのに… 牛丼が品切れだなんて… 「良いわね、祐巳。ちゃんと私をフォローしてくれなくては駄目よ?」 お店に入る前にお姉さまが仰った言葉。 その言葉が今は重かった。 お姉様、『豚丼』を食べるのに庶民特有の作法なんてありませんから… 別に『牛丼』でなくても、同じ丼物ですから… お互い好きなものを注文してましょうよ〜
(みゃあ)色々な意味でギリギリです(^^;。ブゥトン関係ないし(笑)。
2005.1.29