文化祭から3日目の朝(1) 二杯のお茶の謎編

 

文化祭から3日目の早朝。
薔薇の館。
テーブルの上には紅茶が二杯。
そして、テーブルを見つめたまま思案顔の志摩子さん。
あれ?乃梨子ちゃんは見当たらないけど…
でもって、ビスケットドアから覗きこんでいる私を見つけた志摩子さんは全ての謎が氷解したようにマリア様のような微笑を浮かべた。

「あぁ、犯人は祐巳さんだったのね。」

 

 

「えっと…何が私なの?」
「この紅茶をいれたのは祐巳さんではないの?」
「私、いま来たばかりだけど…」
「あら、そうなの?…じゃあ、やっぱり祥子様なのかしら?」

なんて、また思案顔に戻った志摩子さん。 
ということは…うん。 
テーブルの上の紅茶をいれたのは志摩子さんではなくて。 
でもって、疑われているのは私とお姉様ってこと?

 

 

「じゃあ、この紅茶は志摩子さんが来た時にはもう?」
「えぇ、用意されていたの。まだ温かかったから祥子さまか祐巳さんが早く来ていれたのだと思っていたのだけど。でも部屋には誰もいなかったから。」
「なるほど。…でも、なんで私かお姉様なの?」
「あぁ。このカップ。祐巳さんと祥子さまのお気に入りのものでしょう。だからてっきり。」
「な〜るほど。」 

やっぱり山百合会のメンバー。 
お互いの好みをそれとなく知っていたりして…うん。朝からなんだか幸せな気分。

 

 

妹問題は頭が痛いけど…でも、誰を妹にするとしてもこんな風なさりげない関係を築けたらいいな。なんて思う。 
ちょっとした事かもしれないけど…でもやっぱり山百合会のメンバーは生徒会の役員同士という以前に仲間なのだ。 
気分が良くなったついでに紅茶を一杯。
折角、温かいのだし、それに誰がいれてくれたものでも朝から学校で紅茶なんてやっぱり贅沢。 
と、一口飲んでみて紅茶の疑問は氷解した。

「ん。やっぱり祥子さまだ。」
「あら。どうしてかしら?」 
不思議そうな志摩子さん。 
そして、また一つ幸せを見つけた私。 
答えは簡単。 
だって…

「紅茶の甘さが私の好みぴったり。」
「あらあら。ごちそうさま。」

 

(みゃあ)これだけ読むといい話なのですが…?

2005.1.29

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

お名前  mail

  ご意見・ご感想などありましたらどうぞ。