文化祭から3日目の朝(3) 図書館に行ってきます編

 

文化祭から3日目の早朝。  

令ちゃんのバカ。 
島津由乃は朝っぱらから不機嫌だった。 
理由は単純。昨夜は令ちゃんと妹問題で大喧嘩をしたからだ。 
しかも、朝に仕方がないので令ちゃんが迎えに来るのを待っているといつまでたっても令ちゃんが来ない。
しょうがないのでこっちから出向いてやったら今日は朝から用事があるので一人で学校に行ったらしい。 
その、あからさまな態度が頭にきた。 
剣道部も山百合会も早朝に用事なんてない。 
絶対、喧嘩のあてつけに決まっているのだ。

 

 

しかし、令ちゃんの魂胆なんて見えすいている。 
昨日は家族の前で大喧嘩をしたので迎えに来なかったのは『怒っている』というポーズでしかなくて本当は仲直りしたくたまらないに決まっている。
だって、令ちゃんは私が大好きだから。 
となると、学校に朝早くから行った令ちゃんは薔薇の館で私を待っているのだろう。 
剣道部だと他の部員がいて私と喧嘩なんてできないし、クラスだと私に会えない。 
絶対。絶対。薔薇の館で紅茶かなんかをいれて私を待っているのだ。 
そんなわけで私も薔薇の館まで朝っぱらから足を伸ばした。

 

 

そう思っていたのだけど… 
どうしたわけか薔薇の館に令ちゃんがいない。 
部屋は寒いし、期待していた紅茶もない。
しかも、昨日は腸(はらわた)が煮えくり返って夜更かししたから眠気まで襲ってきた。
仕方ないから自分でヤカンを火にかける。お湯は一応、二人分。令ちゃんが遅れて来て紅茶がなかったら火に油だし、寒いからかわいそうだし…、一人だけお茶を飲むのも気が引けるから。 
それにしても、どういうつもりなのだろう。 
眠気でぼんやりしてきた頭でうつらうつらと令ちゃんの心理を推理していると、それが目にはいった。 
たった一言の書置き。

「図書館に行ってきます。」

 

 

まったく、何だって図書館なんだろう。 
仕方ないから、怒りに任せて図書館に行ってやることにした。 
外は寒いから頭も冴えてきたけれど…

それにしても良く分からない。
寒い薔薇の館よりは暖房の効いた図書館の方がマシだから?ミルクホールに近いから? だとすると、人前で喧嘩なんて出来ないから…もう仲直りするつもりなのだろうか? 
こっちは折角、紅茶を用意してあげようと思ってたのに。 
でも… 今回ぐらいはこっちから折れてやるか。 
そう思った。 
だって、妹問題で令ちゃんが怒るのだって、本当は私が大好きだから。 
私のことを気遣って書置きを残しておくのがいい証拠だ。 
絶対。絶対。ぜ〜ったい。 
令ちゃんは私が大好き。

そうに決まっているのだ。

 

(みゃあ)結局、メモは令さま…?

2005.1.29

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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