待ち人来たらず |
校門の端に背を預けて、瞳子は足下の枯葉を数えていた。 …はたから変に見えるだろうか。 いいえ。聞くところによると、白薔薇さまにはギンナンを拾うご趣味がおありだとか。だったら、ここで瞳子が枯葉を数えていたとしても、何の不思議もないはず。 自己暗示をかけていると、足下に影が伸びた。 「あ…」 「あれ…瞳子ちゃん、誰か待ってるの?」 リリアンで最も鈍感な人が、かばんを手に立っていた。
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「え、ええ…あの」 「分かった!祥子さまでしょ。でも、お家のご用とかで早くお帰りだったと思うけど」 「…存じてます」 「じゃあ乃梨子ちゃん…は、さっき志摩子さんと一緒に帰ったし」 先回りで自己完結されるので、瞳子は開きかけた口をぱくぱくさせた。 「ん?じゃあ、待ってるのって…?」 「…お、お友達です!中等部からの!祐巳さまのご存じない方ですわ」
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思わず、口から出任せが。 「へえ、そうだったんだ」 「そうだったんです…」 瞳子は、密かにため息をついた。 「………」 「………」 にこにこ。 「あの…祐巳さま?」 一向に立ち去る気配がないので、おそるおそる帰らないのか聞いてみる。
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「いや、せっかくだから紹介してもらおうかと思って。瞳子ちゃんの古い友人って興味あるし」 「えええっ?!」 「ど、どうしたの」 「い、いえ。でも、いつ来るかわかりませんし…」 「じゃあ、なおさらただ待ってるのって退屈じゃない?」 それまで、おしゃべり相手になるよ。暇つぶしにはなるでしょ、とにこにこしている。 ど、どうしたら…。 今さら、待っていた人はもうとっくに来ているんですとは言えない…。
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タイトルは「待ち人来たる」の間違いでした(笑)。 |
2005.1.30 |