待ち人になりやがれですわ |
「…祐巳さま」 「あれ、可南子ちゃん」 私と彼女を交互に見比べる祐巳さまの視線が痛い。 「あ…もしかして、瞳子ちゃんが待ってたのって、実は可南子ちゃんでしょ!(ズビシ)」 「は?」 「古い友人なんて言って…。でも、ちょっとびっくりしたな。二人がそんなに仲が良かったなんて」 毒を食らわば皿までですっ、瞳子行きます! 「え…えぇえそうなんですぅぅっ!(声裏返りまくり)」
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「実は可南子さんと待ち合わせをしていたのですが、何となく言い出しづらくて…」 「…?何を言って」 ばかばかしい…という顔で横をすり抜けようとする彼女に、ぶら下がるように腕を取る。 「いやですわ、可南子さんったら。お忘れですの?」 何が何でも「待ち人」になってもらいますわよ、と腕と目に力を込めて彼女を見る。 「………」 「………」 沈黙。
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「…そうでしたね」 不審げに寄せていた眉が戻ると、彼女は意外にも話を合わせてきた。 「お待たせしてしまったようで、ごめんなさい」 「い、いいえ…」 あまりにも思惑に乗ってくるので気味が悪い。 「実は、相談があるから聞いてほしいと頼まれまして。…祐巳さまのことで」 「な…!?」
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「…そうでしたよね、瞳子さん」 や、やられた…。顔が真っ赤になっていくのがわかる。 「わたし?私のことで相談って、なに?」 「それはお教えできません。お友達同士の秘密ですから」 涼しい顔で、彼女はいけしゃあしゃあと言ってのけた。 「ぶー…。そうなの?」 「…そうですよね、瞳子さん」 「(むぐぐぐぐ…)え、ええ」 見透かされているようで、顔が上げられず。
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結局、三人で帰りました。 |
2005.2.1 |