しゅるしゅる
きゅっ。
「うーん・・・」

しゅるしゅる
きゅっ。
「うー。うまくいかないなぁ」

　

　

「…何、御一人でタイを結んだり解いたりしているんですか？祐巳さま」
「わっ、瞳子ちゃん！実はね…」
「別に理由を聞きたいわけでは無いのですが…まあ一応、聞いて差し上げますわ」

　

　

「実はね、この前、祥子さまに『妹を作りなさい』って言われてね」
「（ドキッ！）え、ええ、どうなさったのです？」
「妹を作る前に、少しでもお姉さまらしくなろうと思って色々考えているのだけれど」
「…良い心がけですけれど、それと先程の奇怪な行動に何か関係でもあるのですか？」
「とりあえず第一歩を踏み出そうとしていたところなの」
「第一歩？」

　

　

「うん。まずは『妹のタイを上手に直す』練習を」
「・・・・・・」

あの、祐巳さま。

お心がけは確かにご立派ですが、

第一歩、微妙に踏み外しています。