写真部のロザリオ2

 

「時に――貴方、お姉さまはいる?」

 蔦子さまがそうおっしゃった。

「はい…」

 私は、そう答えた。

「そう…」

 

 

 良い淀んだ武嶋蔦子さまは、カメラをまた弄っている。
 なぜ、言いづらそうにしているのか…
 或いは、何か別の理由があるのか。
 蔦子さまのことも、カメラの使い方も
 詳しく知らない、私には分からなかった。

「…いますけど…あの、何か?」

 多分、お姉ちゃんの事なのだろう。
 もう卒業してしまった私の姉は、リリアンでも指折りの秀才で
 少し近寄り難い印象があった。
 怖いもの知らずだっていう蔦子さまの噂は新一年生の間でも有名だったけれど…
 蔦子さまの意外な一面を見ているようで、新鮮だった。

 

 

「今度、一緒に撮ってあげようか?」
「はい。是非、お願いします。」

 蔦子さまとのつながりを持っていたい。
 そんな思いからの言葉だった。

「じゃあ、今度お姉さまと一緒の時にでも声をかけてね。」
「あの…」
「うん?」
「写真ありがとうございます。…本当に、絶対大切にしますから…」
「そう。…写真家冥利に尽きるわね。」

 踵を返した蔦子さまは、クラブハウスへと歩き出した。
 もう、その瞳が求めるのは…捉えるのは、私の姿ではなくて…別の誰かのシャッターチャンスだった。

 だから…

 

 

蔦子さま!!

 だから、私は大声で叫んでいた。
 それは用意していた言葉とは違っていたけれど、間違いなく私の心からの声で、 
 私は、蔦子さまのことも、カメラのことも、もっと良く知りたかった。

「私、写真部に入部しようと思います。そうしたら、…写真部の部員になったら、蔦子さまが指導してくださいますか?」

「写真部に?」
「はい。」

「いいわよ。」
「本当ですか!?」

「勿論、…私を誰だと思ってるのよ。」

 写真部のエース、武嶋蔦子さま、最高の私を写真に収められる唯一の人です。

 その問いに、私の心はそう答えた。

 

(みゃあ)切ないっ、蔦子さん切ないっ。笙子ちゃん、天然ボケでは祐巳に負けてないよ!(笑)

2005.2.5

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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