カニーナ・カンタービレ2 |
「ちょっと待って、待ってちょうだい」 ものすごい後悔をひしひしと感じながら、私はなおも言い募ろうとする彼女を留めた。 「話が見えないのだけど」 「ですから、私には今、どうしても妹にしたい子がいるからアドバイスを頂きたいと…」 一体何を聞いているの…という表情で繰り返す彼女。 「そこで何故私が」 「合唱部なのでしょう?」
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関係ないじゃない。 頭痛がしてきた。 音楽つながりで、合唱部ということなのだろうか。お嬢様の思考はよくわからない。 「あのね、そもそもピアノの演奏で妹をどうにかしようっていう方法からして間違っているのではないかしら」 「今さら困るわ、そんな!ああっ…もしこれで祐巳が妹になってくれなかったら、すべてあなたの責任よ」 「いつの間にそんな話にっ?!」
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「…そうだわ、こういうのはどうかしら。私がピアノを弾いて、あなたが歌うの」 「はぁっ?!」 「そう、祐巳に捧げる情熱のバラッドを…」 そう言うと、彼女はうっとりとした視線を宙にさまよわせる。 き、危険だ。 小笠原祥子さん…想像していたよりも、(色んな意味で)遙かにすごいお嬢様。 このままでは、本当に演奏会に強制参加させられてしまう。
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「れ、連弾というのはどうかしら!」 「…連弾?」 私の必死の口から出任せに、彼女は空想から帰ってきた。 「そう!その…祐巳さん?と連弾して仲を深めるのっ」 「連弾…祐巳と私が…連弾」 ぶつぶつと、彼女は繰り返した。 「連弾…そうね、あの子の後ろから私が手を差し入れて…密着。驚く祐巳を促して、そして始まる二人の演奏会…フフ…フフフフフ…」 …た、たすけて白薔薇さま。
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ああ…祥子さまが壊れていく(^^;。あのシーンの裏には、こんな真相が?!(マテ) |
2005.2.6 |