祝・四連覇(遅過)

 

3学期の始業式の日の放課後。薔薇の館に一足先に来ていた祐巳と由乃が話をしている。

「ねえ祐巳さん。お正月祥子さまのお宅に行ったんだって?」

由乃の質問に、祐巳の表情がゆるんだ。今までの人生で最高のお正月の思い出が脳内によみがえり、祐巳の顔は目も当てられないほどしまりがなくなっている。

 

 

「うん…夢みたいだった…祥子さま、私が遊びに来たこと、嬉しかったって…」

祐巳は祥子さまの家での出来事を夢中になって話す。由乃はそれを微笑みながら聞いていた。祐巳が話を終えると、由乃は自分の事の様に嬉しそうに言う。

「祐巳さん。素敵なお正月を過ごせて良かったね」

「ありがとう!! 由乃さん!!」

しかしそう言った後に、由乃は急に怒り出した。

「それに比べてうちと来たら、ほんっと頭に来ちゃう!!」

「えっ…?」

由乃の意外な反応に、祐巳は少し面食らう。由乃は思い出し笑いならぬ「思い出し怒り」に、わなわなと震えていた。

 

 

「私ね、手術して体調も良くなったから、お正月になったら箱根駅伝を見に行きたいって両親に言ったのよ。毎年テレビで見ていて、いつか生で観戦したいなって思っていたから」

由乃は多少落ち着きを取り戻して言った。

「そうしたらね、うちの両親ったら令ちゃんのうちのご家族と、お正月の合同箱根旅行を勝手に計画しちゃったのよ」

由乃はそう言って、むくれたようにプウッと頬を膨らませた。

「うん…私も、由乃さんのご家族と令さまのご家族が一緒に箱根旅行に出かけたことは聞いていたけど、それでどうして由乃さんがそんなに怒るの? 令さまと旅行、とっても素敵じゃない」

祐巳は訳が分からず、由乃に尋ねる。すると由乃は「怒るのは当たり前でしょう!?」と再び声を荒げた。

 

 

「箱根駅伝っていったら『2区』よ!!『2区』!! 各大学のエースが集まる『華の2区』を生で見ないでどうするのよ!!」

「へっ? にく?」

祐巳は思いっきり間抜け面で、思いっきり間抜けな声を発した。

「そうよ2区よ!!それなのに箱根くんだりまで連れていかれて、しかも令ちゃんはこっちの気も知らずに私の顔を見てだらしなくにやけっぱなしで私の神経を逆なでするし、ほんっと馬鹿じゃないかと思ったわ!!」

「よ…由乃さん…いくらなんでもそれは言い過ぎじゃ…」

祐巳はオロオロしながら言う。しかし、改めて怒りに火がついてしまった由乃はさらにわめき散らす。

「令ちゃんなんか馬鹿でいいのよ!! あー!! 思い出しただけでも腹が立つ!! 来年は一人で観戦に行くわ!! 鶴見〜戸塚間を、ずっと自転車で並走しながら応援してやるんだから!!」

「そ…そんな無茶苦茶な…」

その後、祐巳は祥子さまが薔薇の館に来るまでの間に、怒り狂う由乃を必死でなだめなければならなくなったのだった…

 

(みゃあ)自転車併走…由乃さんならできる気がする(^^;。

2005.4.02

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

お名前  mail

  ご意見・ご感想などありましたらどうぞ。