3人の乙女

 

「お姉さま方。何を読んでるんですか?」
「TRI LADY ROSE(トライレディローズ)よ。」
薔薇さま方が手にしているのはA5サイズの黒塗りのハードカバーだった。
おもて表紙と背表紙には、金文字でタイトルと薔薇の絵が刻印されていた。

「何代かまえの薔薇さまがお書きになったものらしいわ。」
「これ、蓉子ちゃんにあげる。」
そういって、白薔薇さまが私に本を差し出した。
私が、戸惑っていると、お姉さまは江利子に、黄薔薇さまは聖にそれぞれ本を差し出していた。

 

 

「この本はね。同じように見えて中身が少し違うの。」
「一冊に一人の乙女の話。でも1冊で3人の乙女の話でもあるのよ。」
「でも今年は、蓉子ちゃんが1人3役かな。」
「「そうね。ふふふ…。」」

 

 

 刻の糸を紡ぎ、はかり、切る。
 北欧の刻を司る3姉妹のお話は、あまりにも有名であるが、それ以外にも刻や運命を司る乙女のお話しは多く存在する。
 ここにいる3人の乙女もまた運命を司り統べる存在。
 

一人の乙女は、すべての者を清めん。

一人の乙女は、すべての者を受け止めん。

一人の乙女は、すべての者を導かん。

 

 

「あの…お姉さま。」

「これ、志摩子にあげるわ。」

 

(みゃあ)聖さまが受け取ったのはどの本でしょうか。

2005.4.02

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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