知らぬが仏 |
「あら、お久しぶりね祐巳さん、由乃さん」 十二月のある日の放課後、クラブハウス前。 「あっ、ごきげんよう三奈子さま」 経験上、必要以上にフレンドリーな三奈子さまは要警戒、と由乃さんは身構える。 「祥子さんや令さんはお元気?」 背中毛逆立ち、警戒態勢続行、な由乃さんの脇腹を、祐巳が肘でちょいちょい突く。
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「警戒しなくていいと思うよ」 小声でぼそぼそ。 「だって、ほら…」 真美さん、と呟かれて、由乃もようやく得心がいく。三奈子さまの妹である山口真美さんには、先日めでたく妹ができたのだった。 「このたびは、おめでとうございます」 祐巳が先陣を切って祝辞を述べる。由乃もここは素直に続いた。 「え?…あぁ、ありがとう」 三奈子さまは不意を付かれたように目を瞬かせた。
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「あら、でも何故知っているの?」 失礼ながら、聞いてみれば全然なんということもなかった。
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「それじゃあ、ご存じないんですか。真美さんにいも…モガッ」 祐巳の口を、由乃さんが慌てて塞いだ。 「え?」 スキップで去っていく三奈子さまを見送ってから、由乃さんは手を離した。 「っぷは。由乃さんたら、どうして…」 真美さんも罪作りよね…と、人ごとのように呟く由乃さんだった。
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人のことは言えないんじゃないかな、由乃さん(^^;。。 |
2006.1.3 |