泣かれた |
翌日、祐巳と由乃さんが連れ立って歩いていると、真美さんと行き会った。 「あ、ごきげんよう真美さ、ん…?」 腕組みをして、うつむき加減に歩いてきた真美さんは、完全にすれ違って、さらに数歩進んだところで、2人に気がついた。 「あ…祐巳さんに由乃さん…」 呟いて2人を見た真美さんは、どこか途方に暮れたような顔をしていた。
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「ど、どうしたの真美さん」 真美さんは深いため息をついた。 「この間、日出実を妹にしたでしょう」 高知日出実ちゃんは、新聞部期待のルーキーで、真美さんとは先日の茶話会で唯一まとまった姉妹だった。 その茶話会での姉妹成立が問題だったのよと、真美さんは再び嘆息。
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「そのことでうちのお姉さまが…」 昨日のあの後か…と、祐巳と由乃さんは思い当たる。 「…怒られた、とか?」 真美さんはきっぱりと首を振った。 「泣かれたの。なんでそんな大事なことを今まで教えてくれないのって、マジ泣き」 うわあ…と、祐巳と由乃さんは顔を見合わせた。
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「私はあなたのお姉さまなのよ、って」 「そ、それで…?」 ごくり、と2人はのどを鳴らした。 「いや…なんというか、そこまで気にしてくれてたのかって思ったら、正直感動したっていうか…」 「…………へ?」 「お姉さまなのよって言われて、嬉しかったというか…。たまには週末、お茶にでも誘ってみようかな、とか思ったりして…」 両手の指つんつん。 「待たんかい」
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のろけかよっ(笑)。 |
2006.1.4 |