合片

 

「あ…」

マリア像の前、同時に互いの存在に気付いて、

「ごきげんよう」
「ごきげんよう、紅薔薇さま」

可南子ちゃんはぺこり、と頭を下げた。

 

どちらともなく、連れだって歩き出す。

 

 

コツコツ、と黒い革靴の足音が二つ。

ほぅ…と息を吐き出すと、冬の空気に白い色が広がった。

「すっかり寒くなりましたね」

可南子ちゃんも同じように白い息を吐いて見せて、言った。

「そうね。もう年の瀬ですもの」
「ようやく冬休みと思うと、嬉しいです」

何でもない会話に、ふふ…と、同時に笑みがこぼれる。

 

 

「先日は色々とありがとう」

するとクリスマス会のことだというのが、すぐにわかったらしい。

可南子ちゃんはふるふると首を振った。

「いいえ。自分がそうしたいと思っただけですから。お礼には及びません」
「そう?」
「はい!」

横を見ると、少し高い位置に可南子ちゃんの弾む笑顔。

 

 

思わず引き込まれるように口元に笑みを浮かべ、歩みを止めると、その長い髪にそっと指を伸ばす。

「いいわね」

「はい?」
「今の可南子ちゃん。とてもいいわ」

最初は目を丸くしていた彼女は、やがて照れくさそうにはにかんだ。

 

そのままおしゃべりしながら昇降口まで歩いて、そこで別れた。

2006.1.5

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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