合片 |
「あ…」 マリア像の前、同時に互いの存在に気付いて、 「ごきげんよう」 可南子ちゃんはぺこり、と頭を下げた。
どちらともなく、連れだって歩き出す。
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コツコツ、と黒い革靴の足音が二つ。 ほぅ…と息を吐き出すと、冬の空気に白い色が広がった。 「すっかり寒くなりましたね」 可南子ちゃんも同じように白い息を吐いて見せて、言った。 「そうね。もう年の瀬ですもの」 何でもない会話に、ふふ…と、同時に笑みがこぼれる。
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「先日は色々とありがとう」 するとクリスマス会のことだというのが、すぐにわかったらしい。 可南子ちゃんはふるふると首を振った。 「いいえ。自分がそうしたいと思っただけですから。お礼には及びません」 横を見ると、少し高い位置に可南子ちゃんの弾む笑顔。
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思わず引き込まれるように口元に笑みを浮かべ、歩みを止めると、その長い髪にそっと指を伸ばす。 「いいわね」 「はい?」 最初は目を丸くしていた彼女は、やがて照れくさそうにはにかんだ。
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そのままおしゃべりしながら昇降口まで歩いて、そこで別れた。 |
2006.1.5 |