りそうとげんじつ

 

「では、私たちは図書館に寄ってまいりますので」

そう言って、白薔薇姉妹は連れだって薔薇の館を後にした。

「戸締まり、オーケーです」

鍵を確かめた由乃さんは、令さまの元へと跳ねるように歩み寄る。

「今、お帰りですか?」

微かに息を切らした可南子ちゃんが、クラブハウスの方から駆けてきた。

「部活はもういいの?」
「はい、試験前ですから早めに切り上げられました」

お姉さまは可南子ちゃんにハンカチを差し出しながら、バスケ部の話を熱心に聞いている。

 

 

そのすぐ後ろを歩きながら、祐巳は丸い息を吐いた。

「みてみて、もう息が真っ白」
「それは冬ですから」

隣を歩く瞳子ちゃんは、いつものようにそっけない。

「そうだね。空があんなに高い」

見上げた薄墨の空には、遠く、薄い雲が紅の照り返しを受けてたなびいている。

「………」

「どうしたの、祐巳?」
「あっ、今行きます」

少し遅れていたようだ。祐巳は瞳子ちゃんを促して、マリア像の前で待つお姉さまたちのもとへ足を速めた。

 

 

マリア様へのお祈りを終えて横を見ると、瞳子ちゃんは、まだ手を合わせたまま目をつむっていた。

「…お待たせしました」

祐巳と瞳子ちゃんが最後だった。他のみんなは、少し先で二人を待っている。
ざあざあと、風が冬枯れのイチョウを揺らす音。

「ねえ、瞳子ちゃん。私の妹になって」

マリア像を背に、前を向いたまま。
隣で、微かに息を飲む音。数瞬を置いて、ちょっと上擦った瞳子ちゃんの声。

「後悔しても知りませんわよ」
「しないから、平気」

手袋越しに瞳子ちゃんの手を取って、そして二人は歩き出した。

 

 

・・・・・

・・・

・・

「…↑っていうのが理想だったのにぃ!新刊で瞳子ちゃんが…瞳子ちゃんがぁ(えぐえぐ)」

「し、しりません。祐巳さまの妄想です」

「えーん、慰めて瞳子ちゃーんっ!」

「なっ、日本語がおかしっ…ちょ、ゆみさ…ぎゃーっ!!

 

別に波乱が無くていい。日常の中の姉妹誕生。それが作者の願望でした(笑)。

2006.1.6

 

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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