二条乃梨子の事件簿 |
「(まったく!菜々ったら一瞬喜ばせておいて、どん底までたたき落とすんだから…)」 お茶の追加を持って菜々がテーブルに戻ると、由乃さんは再びポットに茶葉をぶちまけた。 「(私のこと、令ちゃんへの伝言役くらいに思ってるのかしら)」 「かなり入れ込んでおられますね、由乃さま」 振り向いた目と鼻の先に、おかっぱ頭。
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「な、なんのことかしら?」 ちらり、と乃梨子は歓談が続いているテーブルに目をやる。 「別に私はっ。…菜々のことは少し気になる、程度で」 「では、本気で来年は彼女を妹に?」
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「由乃さまって、意外とのめり込むタイプですよね」 「っっ、だから違うってば!私はただ菜々に…!」 いつの間にか本人が側に立っていて、由乃さん大パニック。 「なななっ、なんでもないわよ!」 あっさりと頷くと、再び戻っていく菜々。 「あ…」
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「…由乃さま、気付いてます?今、もの凄い切なそうな顔してますが」 ゴン。 ばっ、と頬を両手で挟んで表情を隠す由乃さん。 「ちっ、ちが…」 ぽむ。 不意に肩に置かれた手に振り向くと… 瞳子ちゃんのなま暖かい眼差しが、「いじられ道へようこそ」と雄弁に語っていた。
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由乃「いやーっ、それだけはいやーっ!」 |
2006.1.7 |