そこは流して |
「有馬菜々、か…」 クリスマスパーティーの終盤、由乃と二人、連れだって出ていったビスケット扉を見やって、令は呟いた。 その後ろ、人が少なくなって、がらんとしたテーブルで、祥子が冷めかけたお茶をすする。 「いい子みたいだね」 「そうね」
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セミロングの髪に、まだまだあどけなさの残る顔、きらきらした大きな瞳。 ただ一人、中等部の出席者だというのに、少なくとも見た目は臆することなく、薔薇の館にとけ込んでいた。 「年齢に比べてしっかりしてるし、肝も据わってる」 「ええ」 手合わせをしたいということだったが、なかなかどうして、腕もたちそうだ。
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「由乃が妹に…って思ったのも、頷けるかも…。ね、祥子はどう思う?」 祥子はティーカップから、ゆっくりと視線を上げた。 「私も、令と同意見よ」 「そっか…」 出窓の外の雲が、赤く染まっていた。 「由乃の妹って、想像もつかなかったけど…そうね、ああいう子が、由乃には合うのかもしれない」 「令…」
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「そう思うなら、捨てられた子犬のような目で袖にぶら下がるのはやめてちょうだい」 子離れするって決めたんじゃなかったのかしら…。
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目からは汗が滝のように…(^^;。 |
2006.1.8 |