まもなく、２番線に快速列車がまいります―――

　

当駅には停車いたしませんので、黄色い線の内側まで下がってお待ち下さい

　

　

　

　

プアァァァン―――

　

ゴォッ…ガタタンガタタンガタタン…

　

　

　

「あ、由乃さま…」

菜々が、由乃さんの襟元に手を伸ばす。

「え…？」

ちょいちょい、とマフラーを直して微笑む。

「はい、大丈夫です」

「あ、ありがと…」

　

　

「由乃さん、嬉しそうね」
「由乃さん、顔緩んでる」
「緩んでます」
「にやけてるわね」
「鼻の下伸びてるー、このムッツリ」

「だあーっ！みんな一斉になんだってのよ、もう！にやけてません、緩んでませんー！それから最後にボソッと言ったの誰だーっ！」