弟のぎわく、ふたたび

 

「…おい、先輩。いい加減いいだろ」

「なんだ、そんなに気になるのか?」
「べ、別に…そういうわけじゃ。もう、焦らすなよ!」
「祐麒。人にものを頼む時にはどうするんだい」
「…本っ当に意地が悪いな、あんた」
「ふっ…」
「お…お願いします」

 

 

運転席と助手席。

外車特有のゆったりしたスペースにもかかわらず、花寺生徒会旧師弟の距離は、みょーに近い。

祐麒は辺りを憚るように、声を抑えている。

そして柏木の顔が、ゆっくりと祐麒の顔に近付く…

 

 

「だからさ…瞳子は僕の従姉妹
「んなこた知ってる。前に先輩ん家で会ったじゃんか」

「あれ。そうだっけ」
「とぼけるなよ!」
「別にとぼけてないんだけどな…。祐巳ちゃんとの関係?ただの学校の先輩後輩だろう」
「…ただの後輩が、家出先としてうちを選ぶのか?だいたい、祐巳は高校上がってから、友達でさえ連れてきたことないんだぜ?!」

祐麒の声は、次第にヒートアップ。

反対に、柏木は辟易した顔になっている。

 

 

「さっちゃんは?」
「祥子さんは…別格だろ」

祥子は年上だし、姉だから仕方ないらしい。

どうも、自分より年下という辺りが、余計に気になるようだ。複雑なお年頃である。

「とにかく、あの二人の距離はおかしいんだって。メシ呼びに部屋覗いたら、怪しい雰囲気になってたし…!お、俺は弟としてだなぁ…っ」

やれやれ…。

この場合、僕と祐麒の病気、どっちがタチが悪いのかなぁ…。

などと考える柏木であった。

 

これじゃ言えるわけない(笑)。

2006.01.15

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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