かいてん

 

電車の発車を告げるベルが鳴り響いている。

「瞳子ちゃん、早く早く!」
「ち、ちょっと待ってください、祐巳さま!」

祐巳さまは落ち着きがなさすぎる。

ベルが鳴り始めたら慌てずに、ゆっくりと次の電車を待つのが、リリアン生徒のたしなみであるはず。

にも関わらず、この方はベルが鳴り始めるや否や、私の手を取って猛スピードで走り始める。

 

 

プシュー。

か、間一髪…
「きゃっ」

「わっ、瞳子ちゃん!」

かっ、髪が…髪がドアに挟まって…

「大変、早く回して回して!

「何をですか、何をっ!」

 

 

ププシュー、プシュー。

ドアが開いて、再び閉まった。

「うぅ…私の髪が…」

朝から時間をかけてセットしてきた右の縦ロールが、見るも無惨に…。

「う゛ー…」

恨みがましい目で、祐巳さまを睨む。

 

 

「ごめんね、瞳子ちゃん。次の駅で直そう?」

なでなで…。

「う…。(ぷいっ)」

そういうことをするから、何も言えなくなるじゃありませんか。

…瞳子、困ります。

困るんですってば。 ほ、本当ですわよっ。

 

ところで、この二人は何をしているんでしょうか?(ヒント:私服)

2006.01.15

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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