ゆきかかない

 

カチャ…。

 

白薔薇さまは、無造作にティーカップを傾けた。

琥珀色の液体を飲み干すと、ふっ…と息をつく。

何でもない仕草が優雅に見えてしまうのは、その端正な顔立ちのゆえか。

 

 

出窓の側にたたずみ、気怠げに冬の高い空を見上げる黄薔薇さま。

 

「平和ね」

だから退屈、とでも言いたげに、頬に手を当て、ため息をつく。

眼下に積もった雪の照り返しを受けて、ヘアバンドで大きく開いたおでこが光る。

 

 

ばたんっ。

ビスケット扉が勢いよく開いて、艶やかな黒髪にあちこち雪を張り付けた紅薔薇さまが、ぜはーぜはーと荒い息をつきながら現れた。

ほっぺた真っ赤。

「あなたたち…雪かきを手伝おうって考えは起きないの…?」

どちらが先だったかわからない。

ぷふっと、口から空気の抜ける音がした。

 

 

「だるまみたいよ、紅薔薇さま」

白薔薇さまの一言とともに、笑いが爆発した。

「あははははははっ!」
「あーはっはっは!」

「…言うことはそ・れ・だ・け…?」

紅薔薇おしおきショウタイム。

館の周り中の雪をかかされました。

 

紅薔薇さま「悪かったわね、寒がりでっ!」

2006.01.22

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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