可南子的未来予想 |
「そ、それで?」 竹ぼうきをギュッと握りしめて、乃梨子は身を乗り出した。 「…別にどうも。3人でご飯を食べました」 今週、掃除場所が一緒な可南子さんは、平然と答える。 「うわあ…」 その場面を想像するだに、冷や汗ものの乃梨子である。
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「で、でも、気まずくなかった?」 すっかり手がお留守になっている乃梨子に代わって、可南子さんは蓋付きのちりとりに集めた落ち葉を入れていく。 「別に。そういうの、普段慣れているし」 いや、慣れているってのもどうだろう。 「可南子さんて…すごいね」 「そう?」 サッ、サッ。
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「で…」 ごくりと、唾を飲み込む。 「瞳子は、どんな様子だった…?」 最近の瞳子は、乃梨子から見れば歩く火薬庫のようなものだ。 ヘタに触れれば、相手ごと木っ端みじん。 「そうですね…しきりに話題を振る祐巳さまの声を、意図的に無視しているような」
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「そうかぁ…」 がっくりと肩を落とす乃梨子を見やって、「彼女も変わったな」と可南子は思う。 入学したての頃は、自分と同じように、周囲のことなど気に留めていなかったのに。 「その様子じゃ、来年以降が大変そうね。乃梨子さん」 不思議そうな顔で目を瞬かせる乃梨子に、可南子はくすくすと小さな笑いを漏らした。
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瞳子「…へくちんっ」 |
2006.01.27 |