以心伝心

 

チャリ…。

無意識に、首から提げたロザリオを握りしめた。

気が付くと、瞳子ちゃんのことを考えている。

ふぅ、とため息。

歩を進めるたびに、足下の枯葉が乾いた音を立てた。

「あっ、祐巳さま。ごきげん…ぁ、れ」
「おっとぉ…?」

 

 

ぼすっ。
…ぼす?

「とと…オーバーランよ、祐巳さん」

顔を上げると、正面衝突した蔦子さんが危ういところで祐巳を抱き留めてくれていた。

「ごっ、ごめん!」
「前方不注意?」

慌てて飛び退くと、眼鏡を直しながら蔦子さんはニッと笑った。

「ありがとう。…笙子ちゃんも、ごめんね」

間一髪で蔦子さんのカメラを受け止めてくれた笙子ちゃんにも、頭を下げる。

 

 

「いえ、そんな。…それより、大丈夫ですか?」
「うん…平気」
「………」

しかし、答える声はどこか沈んでいる。あの…と続けようとした笙子ちゃんを蔦子さんが制止した。

「じゃあ祐巳さん。今度はちゃんと前を向いて歩くこと」

それから、とすれ違いざまにポンと肩を叩く。

「話があれば、いつでも聞くから」
「…うん。ありがとう、蔦子さん」

 

 

「あの…蔦子さま。良かったんですか?」

別れたものの、どうにも気になって、笙子は蔦子さまを見た。

「いいのよ。この場合ほら、私たちより適役な方が」

え?と肩越しに振り向くと、紅薔薇さまが祐巳さまに歩み寄るところだった。

「――気付いてたんですか?」

答える代わりに、蔦子さまは鼻の頭をこりこりとかいた。

「まあ、私たちの出番は、その後かな」

――なんてすごいんだろう、この方は。きっと、祐巳さまのことも…。

「…♪」

そんな蔦子さまに、笙子は無言で一歩だけ寄り添って歩き出した。

 

祐巳をダシに、写真部二人をいちゃつかせたかっただけ(笑)。

2006.01.28

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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