二度寝

 

「ん……んん?!」

寝ぼけ眼でめざまし時計の文字盤を確認して、がばっと跳ね起きる。
眼鏡装着。…やはり結果は変わらない。

「しまった…!」

完全に寝過ごした…慌てて洗面所に駆け込むと、顔を洗うのももどかしく、寝乱れた髪をなんとか形にしようと櫛を入れる。

「よりによって今日寝坊だなんて…1限は…」

1限は……?

 

 

「…今週、休講だった」

一瞬、時間が止まって…再び、緩やかに流れ出す。

脱力。何してるんだろう、まったく…。
先ほどまでの自らの醜態を思い出して、ひとり赤面する。

居間には戻らず、キッチンでお湯を沸かしてコーヒーを入れた。
飲んでいると、寝起きのけだるさが戻ってくる。

こんな日もたまにはいいか…幸い3限まで時間はある。

 

 

もう一眠り…と布団に戻ろうとしたところで、違和感。

「くかー…」
「……何してるの、佐藤さん」

神出鬼没。最近、いつでも現れる見慣れた顔。

「ん…おはよー。カトーさん」
「おはようじゃなくて。…昼間から怠惰なことしてないで」

佐藤さんはちぇー、と口を尖らせる。…端正な顔立ちで、そういう表情しないでほしい。

 

 

「自分だって、二度寝しようとしてたくせに」
「…う」
「言っとくけどねー。私は眠いのにも寒いのにもめげず、朝一の授業に出てきたの。寝坊してた誰かさんと違って」
「…く」
「というわけで、私は二度寝します。OK?」
「…って、ちょっと待ちなさい。偉そうなこと言って、1限寝てたわね?」

ジト目で、口元のヨダレのあとを指さす。

ササッ。
「しまった、バレた」

 

景「…三度寝じゃない、あなたの場合」

2006.01.31

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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