私の妹

 

「令ちゃん…」
「令さんっ」
「黄薔薇のつぼみの妹!」

令は人目を引く子だ。

しなやかな長身に、ボーイッシュな顔立ち。

どこへ連れて行っても、大抵人の輪ができる。

 

 

バレンタインともなれば、同学年はおろか、上級生からもチョコレートをもらう始末。

その点、蓉子の妹の祥子にしても同様なのだが、令にはどこか気が置けないところがある。

姉である私としても、満更でもない。

「行くわよ、令」
「あ、はい。お姉さま」

だけど、私が気に入っているのは、そうした表面的な部分だけではない。

 

 

人の輪をほどいて、私についてくる小走りの令。

とてててて…。

私から見て表現するなら、そんな感じ。

「くす」
「?どうかなさいましたか、お姉さま」

ありきたりの感情かもしれないが、可愛い。

動物に喩えるなら、親鳥の後を一生懸命追いかけてくるひよこ。

 

 

「なんでもないわ」

もちろん、慕われて悪い気はしない。

令の前髪を二本の指でもてあそぶ。

お姉さまだけの特権。

「?はあ…」

よく分からない顔で、されるがままになっている。少しだけ、照れくさそうに。

そんな令が、私は好きだ。

 

決して、他人には口にしないけれど。

2006.02.02

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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