運命の出会い(未遂)

 

新学期早々、令が妹をつくった。

「いいわねぇ、黄薔薇さまのところは。はー、私も早く孫の顔が見たいわぁ」
…なんて、お姉さまは聞こえよがしに言う。

令も令。いくらずっと前から決めていたとはいっても、何も入学式の日にロザリオを渡すことないじゃない。
二人しかいないつぼみに遠慮して、少しは保留してくれるのが親友の務めではなくて?

桜の季節も相まって、気分は陰鬱。先ほど弾いたオルガンも、どこか気が入らなかった。

 

 

しかし、そんな祥子のオルガンに一目惚れした一年生が一人。

お御堂の入り口から、熱い視線を送っていた。

「小笠原…祥子さま――――」

夢見るような口調と視線。風に翻る長く緑なす黒髪に、釘付け。

お下げがぴょんこと揺れる。

「あんな方が…お姉さまだったらなぁ…」

 

 

大体、私だってその気がないわけではない。妹にしたいと思うような子がいれば、いつだって――――
キイィィィ……ン。

(な、なに。この左後方に感じるプレッシャーは…)

限りなく普通なのに、決して無視することのできない、何かを感じる。

(もしかして、これが…)

祐ー巳さん。途中まで一緒に帰らない?
あっ、うん。じゃあ少し待っていてくださる?

(これが…私の妹?!)

 

 

バッ!

 

祥子――――――――→   人垣  祐巳

 

…違う。この子じゃない。確かに限りなく普通だけど…限りなく普通だわ

やはり、そう簡単に妹なんて見つかるはずもない。
祥子はため息をつくと、踵を返した。

 

こうして、運命の出会いは半年延期された(笑)。

2006.02.03

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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