まちぼうけな午後

 

とぽぽぽ…。

紅色の滝が、カップを満たしていく。
ふんわりとした湯気とともに、紅茶のいい香りが室内に広がる。
最後の一滴を注ぎきると、スティックシュガーとミルクを添えて、ソーサーが差し出された。

「どうぞ」
「ありがとう」

…こく。
「ん、おいしいよ瞳子ちゃん」
「そうですか」

 

 

ずず…。
ず…。

…ほぅっ。

「…遅いですね、黄薔薇さまたち」
「うん?そうかな」

本日、祥子さまはお家の事情、白薔薇姉妹は備品の買い出しでそれぞれいない。
自然、剣道部が終わるまで黄薔薇姉妹を待つことになる。

 

 

「…何をにやけてるんですか」
「えっ、私にやけてる?」
「…まったく。祐巳さまは口元が緩すぎるんです」
「そうかな?」
「そうです」
「えへへ」
「…もう」

瞳子ちゃんはどこか気まずげに、カップに目を落として押し黙る。
祐巳は頬杖をついて、そんな瞳子ちゃんを飽かず見つめる。

 

 

「…なんですか」
「♪ん、なにが?」
「いえ…」

………。
………。

「あ、あの。お茶をもう一杯いかがでしょう」
「うんっ。いただくわ」

差し出した空のカップをほっとしたように受け取ると、瞳子ちゃんはそそくさと立って、お湯を注ぎに行った。

 

…だから、オチはないんですって(^^;。

2006.02.05

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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