ざゆうのめい

 

「本日はお忙しいところありがとうごさいます」

新聞部期待のルーキー、築山三奈子はサッとお辞儀した。トレードマークのポニーテールが揺れる。先日まで松葉杖が必要なけがをしていたというが、それを感じさせない俊敏さ。

「このたびはリリアンかわら版特集で、つぼみの皆さま方の座右の銘を紹介させて頂きたいのです」

メモ帳片手に、3人のつぼみににじり寄りっ。

 

 

そうねぇ…と、紅薔薇のつぼみこと水野蓉子さま。内心「顔近いなあ…」と思っている。

「座右の銘というほどのものでもないけれど。質実剛健、かしら」
「『質実剛健』…と。さすがは蓉子さま」

期待を裏切らない、優等生的発言。
でも記事としては、少々面白味に欠けるかな…と三奈子は失礼なことを考える。

 

 

「それでは、聖さまは」
「…別にない」
「『別にない』…ってあの、それだと困るんですが」
「えー…。じゃあ『面倒くさい』」
「め、『めんどくさい』?」
「聖…」

蓉子さまがたしなめるが、聖さまは興味なさそうに横を向いて大あくび。
どちらかと言えば憂い顔のクールビューティーといった先入観を持っていた三奈子は、少なからず衝撃を受けた。

 

 

「じゃ、じゃあ最後に江利子さま…」
不思議発見
「…は?」
「不思議発見!(目ぇきらきら)」
「あ、あの…」

はぁ…と、蓉子さまがこめかみに手をやる。

「私のもう一つの座右の銘、知りたいかしら」
「…いえ、なんとなくわかりました」

 

結局、この企画はボツになりました(^^;

2006.02.09

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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