白薔薇の悪戯 |
「…聖ったら。髪がバサバサじゃない」 何気なく私の髪に触れたお姉さまが、呆れたような顔をする。 「別に、いつも通りです」 そう、いつも通り。背中まで伸びた髪は、大した手入れもしていない。 それに元来、私の髪はそれほど艶のある髪質ではないらしい。
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「しようのない子ね」 言いつつ、お姉さまは鞄から小さなブラシを取り出す。 「ほら、動かないの」 身じろぎをする私を制して、お姉さまの手が私の髪を梳いていく。 シュッ…シュ…。 やわらかな感触に、私は目を閉じた。
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その感触は、ただでさえ睡魔に弱い私を眠りに誘う。 ………。 くっ。 …えっ?
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「お姉さまっ」 気がつくと、あろうことか私は三つ編みにされていた。 「可愛いわよ、聖。ねえ、蓉子ちゃん」 うそをつけ。どう見ても、笑いをこらえてるじゃないの。 「どんな髪型でも、私は聖の顔、好きよ」 …やはり、お姉さまは私の扱いが上手い。
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少しだけサラサラになった髪を、私は無言で撫でてみた。 |
2006.02.12 |