蝶よ花よ |
「ご紹介いたします、お姉さま方。私の妹、小笠原祥子です」 初めて薔薇の館に足を踏み入れた蓉子の妹は、そう言って淑やかに頭を下げた。 何かと話題の人物だから、私でさえ顔くらいは知っている。 それは見ていて憎らしいほど、落ち着き払っていた。
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お姉さま命令で顔を出していた私にも、目が合うと会釈をしてみせた。 まるで他人の内面を見通すような目は、私にはどうにも居心地が悪い。 「どうも…」 私はおざなりに返事をして、視線を逸らした。 しかし…。
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「きゃーっ、可愛いわ祥子ちゃん!」 「…あの…」
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三人の薔薇さまに過剰にもみくちゃにされて、困惑顔の祥子。 その様子に、私は少し溜飲を下げる。 「楽しくなりそうだわ」 江利子の含み笑いを聞きながら、それは同情に変わった。 これは、あの人たちのいいオモチャだわ。…ご愁傷様。
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祥子さま、先代・薔薇さま方には甘やかされまくっていたと想像(笑)。 |
2006.02.13 |