奥様戦隊・序曲 |
柵で囲われた森と池のある小さな庭。 落ち着かなげに髪をいじりながら、蓉子は待っていた。 「蓉子」 どきん、と胸が高鳴る。
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いつも見慣れた顔。 「大事な用って、なにかしら」 その声を聞いた途端、顔の温度がみるみる上昇していくのが分かった。 「あの…。こ…これをッ」 色々と用意していた段取りを全部すっ飛ばして、気がつくと、バカみたいにチョコレートの包みを持った両手を突き出していた。
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「私に?」 緊張のあまり、目の前がチカチカした。 「…お堅い子だとばかり思っていたけれど」 次の瞬間、蓉子は温かい感触に包まれていた。 「こんなに可愛いところがあったのね」 ………。
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翌日。 薔薇の館の前で、江利子と聖がいぢわるそうな笑顔を浮かべている。 「?ごきげんよう」 ブーーーーッ!! 「な…あ…」 全身真っ赤の赤だるま状態の蓉子を後目に、江利子と聖はげらげら笑いながら、口に手を当てて逃げ出した。
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この時は、自分自身がその一員に加わろうとは、夢にも思わない蓉子であった。 |
2006.02.15 |