アンユースフル・プリンス |
「…こんなところで何をしてるんだ、ギンナン王子」 校門前、唐辛子色のスポーツカー。定位置に気にくわないその男はいた。 「…さっちゃんに頼まれてね。言っておくが、僕はそんな名前じゃない」 延々と不毛なやり取りが続くかと思われたが、校舎の向こうからやってくる人影を認めて、柏木は口をつぐんだ。
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「っくしょ!」 微笑ましい寸劇を繰り広げながら、彼女たちがやってくる。 「祐巳ちゃん、祥子。やほー」 「きゃっ」 その時、祥子の手から突風がハンカチをさらい、高い立木の枝に引っかかった。
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「やだ…困ったわ」 「ここは男の僕の出番かな?」 言いつつ、聖は舌打ちした。自分も背の高い方だが、あの高さでは悔しいけれど届かない。 「適材適所という言葉があることを学んだ方がいい。ほら、さっちゃん――」 ひょい。 「どうぞ、紅薔薇さま」
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「………」 ・・・・・・・。 「あ…の…?私、何かまずいことをしましたか?」 体全体で笑いをこらえながら、聖は長身の少女の肩を抱く。 「適材適所。いい言葉だ、腹がよじれるほど。いやぁなんだか気分がいいな、みんなにコーヒーおごってあげやう。唯一の適所を奪われた哀れな男はほっといて、いこいこ」 ぷるぷるぷる…。
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祥子「あ、あの、優さん…?」 |
2006.02.18 |