瞳子と笙子 |
「あら…」 昼休み。ミルクホールへと続く渡り廊下で、二人の少女はばったりと顔を合わせた。 「瞳子さん」 互いに会釈すると、くすりと笑みが漏れた。
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「何だか久しぶり、って感じだね」 笙子さんとは、中等部の3年次に一緒のクラスだった。 「文化祭の劇、見たよ。瞳子さん、すごかった」 そう言って、自分のことのように笑う笙子さん。
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取り留めのない話をしながら、生き生きとした笙子さんの横顔を横目で見る。 「あっ」 昇降口が見渡せる場所に来たとき、笙子さんは「瞳子さん、私ちょっと…」と、ごめんねのポーズをしてみせた。 「話せてよかったわ。またね」 彼女が小走りに向かう先に、首からカメラを下げた女生徒の姿があった。 「あれは…」
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写真部のエース、武嶋蔦子さま。 蔦子さまがこちらに気付いて、軽く手を振った。 輝いているのはあなたの方ですわ、笙子さん。 (私は…) きゅっと、唇を噛む。 どうしたら笙子さんのように輝けるのか、本当はわかっていた。
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そして、今の自分には、それに手を伸ばすことができないことも…。 |
2006.02.20 |