Eの戦慄・小次郎と武蔵

 

「…遅い。」

中等部の剣道場入り口が見渡せる木陰。
なぜか頭に鉢巻きを締めた由乃は、仁王立ち。

江利子さまは昨日、部活終了後の菜々を待ち伏せていたらしい。
ならばと、由乃は先回りしてここへ駆け付けていた。

「遅いわ、江利子さまめ」
再びつぶやく由乃。気分は完全に、巌流島の決闘である。
ちなみにその場合、待たされた方が負けるわけだが、それには気付いていない。

 

 

「そんなとこで待っていても、しようがないと思いますが」
わあ!

突然背後から声をかけられて、由乃は飛び上がる。

なっな菜々!…おどかさないでよ、もう」

土曜の午後ということで、菜々はすでに剣道着だ。
自然体で、隙がない。ビギナー丸出しの自分とは大違いだと、しばし見とれる。

「いつ来る、と時間を指定されたわけでなし。もしかしたら、また夕方かも」

「…あなたに迷惑はかけないわ」
ぷいと、腕組みしたままそっぽを向く。

 

 

「それより、部活はいいの?」

「今日は自主練ですから」
そう言うと、菜々は小さめのバスケットを取りだした。

「食べません?私お昼、まだなんです」
「あのね…」

答える前に、お腹がくー、と鳴った。

「………(真っ赤)」

そういえば、授業終わってすぐ来たんだった…。

 

 

「…悪いわね。あなたの分もらっちゃって」

「いいえ。なんとなくこうなる気がしたんで、大目に持ってきたんです」

それはそれで、面目丸つぶれなわけで。

ぱく。
「…おいしい」
「そうですか?よかったです」

微笑まれて、うかつにも顔が赤くなってしまう。

「あ、お茶どうぞ」
「う、うん。ありがと…」

……ほのぼの〜。

 

予想を裏切って、まったり( ̄▽ ̄)。

2006.02.23

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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