うわさの真相?

 

“松平瞳子さんは、小笠原祥子さま目当て。”

以前から一部で囁かれてはいたが、ここまで直接的な言葉が飛び交うようになったのは、山百合会主催の茶話会前後。

「祐巳さまだって、本心では苦々しく思っておられるに違いないわ」

今日もまた、リーダー格の少女を中心に、囁き交わす声。
そうよそうよ、祐巳さまが相手にするはずがないわ、と賛同する少女たち。

「祐巳さまの前では、さぞや猫をかぶっているんでしょうね…」

その背後を、当の瞳子さんが通り過ぎる。
皮肉げな視線が、いくつもその背に向けられた。

 

 

あっ、瞳子ちゃん!
(すざっ)
な、何のご用ですか祐巳さま。
う…瞳子ちゃん、冷たい。

(もふもふ)

…髪を触らないでください。
えー。このところ、瞳子ちゃんのお下げを触ってないと落ち着かなくて。
や、やめてくださいよ。

 

 

………。

「だ、大体、祐巳さまに興味もないのに妹に…なんて許せない」
「そ、そうよそうよ」

 

あ、そうだ。お昼ご飯一緒に食べようと思って誘いにきたんだった。
え…いえ、私は。お邪魔ですし…。
そんなことないって、ほら行こ。
(きゅっ)
わ、わかりましたから、手を離してください。
いいからいいから。
よくありませんっ。

 

 

「なんか…耳まで真っ赤にしてるみたいだけど」
「と、瞳子さんは演劇部だし、演技が上手…」

ぎゃーす!

怪獣のような悲鳴が上がった。

戯れに、祐巳さまが耳に息を吹きかけたらしい。
瞳子さんはカンカンで、頭から湯気を吹き上げて祐巳さまを追いかけ回している。

 

「…もしかして…めちゃくちゃ仲良くない?」
「…っていうか、瞳子さんて、あんなだったかしら?」

 

瞳子「私は迷惑してるんですっ」

2006.02.26

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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