みみかき

 

「よしのー」

カーペットに正座した令ちゃんが、膝をぽんぽんと叩いて手招きする。

「耳そうじしよう」
にこにこ。

「………」

あれはもう、ほとんど病気だ。
令ちゃんは人の(というか由乃の)耳そうじをするのが大好きで、3日とあかず、こうして誘ってくる。

 

 

「…汚れてないから、いい」

振り向かせていた顔をぷいと背けて、再度机に向かう。

「そんなぁ…よしのー」

…お願いだから、こんなことぐらいで世界の終わりみたいな声を出すのはやめてほしい。
背後で、いじけている気配。

「もー、わかったわよっ」

教科書を乱暴に閉じて、椅子を立つ。

 

 

わーい、と喜んでいる令ちゃんの太股に頭をのせる。
ぽふ。

…ずっと思っていることだけど、剣道をやっているのに、どうしてこんなに女性らしい柔らかさなのだろう。

「じゃ、するね」
「ん。」

ほじほじほじ…かきかき…ほわほわほわ…。

「〜♪」

あ…ダメだ。
やっぱり、令ちゃんの耳そうじは眠く…な…る。
………。

 

 

翌朝―――。

 

ばたばたばたっ。

「もうっ!令ちゃんのせいで宿題できなかったじゃない!」

だからヤだったのだ。

「わ、私のせいなの?」
「そうよっ!」

いつもはともかく、今回は絶対令ちゃんのせいだと思う。
もう、令ちゃんのばか…。

 

耳かきしすぎると大変なので気をつけましょう(笑)。

2006.03.06

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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