みみかきま

 

薔薇の館。

「令」
扉をくぐると、友が椅子に座りながら船をこいでいる。

「こんなところで寝ていると、風邪引くわよ」
ゆさゆさと肩を揺り動かすと、令はぼんやりと目を開けた。

「あ…由乃」
「え?」

何を言っているの?と首を傾げる祥子。

 

 

「わかった、耳そうじだね」
「令…?」

ぼーっとした表情のまま笑顔を浮かべると、令は祥子の肩を掴んで、ぐいと引き寄せた。

「ちょっと…何?!」

さすがは剣道部主将。力で敵うはずもなく、祥子は強引に膝枕の体勢に。

「寝ぼけてるの、令。…え?」

いつの間にか手にした耳かき棒が、目の前に迫って…。

 

 

「ど、どうしたの由乃さんっ。そんなに急いで」
「うっかりしてたわ…」
「な、何が?」

「昨日、耳そうじしなかったのよ」
「………は?
「だから、ここ3日ほど耳そうじしてないの」

祐巳さんは、頭の中が「??」状態という顔。まあ当然だろう。
これでわかったら、祐巳さんこそエスパー。

とにかく、耳そうじできないストレスの溜まった令ちゃんは危険なのだ。
スカートのプリーツが翻りまくるが、気にせず駆けた。

 

 

「ひぃやぁーっ」

「「あ。」」

館2階の窓から、祥子さまのものとおぼしき悲鳴。

だだだだっ…ばたんっ!

「お姉さま?!」
「…遅かったか」

床に、はり倒された令ちゃんと、すごい形相でぜーはーと肩で息をつく祥子さまの姿が。

 

由乃「耳に息吹き込まれたわね、祥子さま…」

2006.03.07

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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