あみぼう

 

「ん…」

目を覚ますと、令ちゃんはいなかった。

熱はもう下がっていたので、愛用のひよこのタオルを額から外して、布団から起き上がる。
室内には、つい先程まで誰かがいた気配が残っていた。

…そっか。令ちゃん、ずっとついててくれたんだ。

ふと見ると、こたつの上に、編み棒が1本だけ残されている。

令ちゃんが忘れていったんだろう。変なところで抜けてるんだから。

 

 

枕元の水を飲んでテレビを付けると、N響アワーだった。

「………」
ぼーっと、激しい動きを見せる指揮者を眺める。

 

…指揮棒と編み棒って、ちょっと似てるなー。

 

「………」
気まぐれに、編み棒を手に取ってみる。

ちょい、ちょい。
見よう見まねで、曲に合わせて振ってみた。

 

 

ツイツイ、ちょいちょい、フオッ…ひゅひゅん。
「ふんふん、ふふんふん、ふんっ」(←だんだん、ノッてきた)

『由乃、ごめん。忘れ物しちゃったから、入るね』

ガチャッ。

「「あ。」」

 

 

…………ぷっ。

 

 

どんどんどん…。

「ごめん、私が悪かったわ由乃!笑ったりして…」

必死にドアをたたく音。

「ねえ、由乃ぉー。もう許して、中に入れてよぉー…」

だんだんだん…。

 

令、半泣き。

 

結局、その後2日間、口をきいてもらえませんでした。

2006.03.15

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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