かんゆう

 

あいうえお、いうえおあ、うえおあい、えお……あ?」

「あら、やめちゃうの?」
「私たちに構わず、続けて?」
「「ぶ、部長!」」

「「…え?」」

瞳子と可南子は、お互い顔を見合わせた。
それぞれの部長は、にこにこと二人を見ている。

「み、見てらしたんですか?」
「ごめんね。覗くつもりは…ほんのちょっとしかなかったのよ」

 

 

「すっ、すみません、掃除もしないで…」

可南子は恐縮して頭を下げる。

「いいのいいの。いつもあなただけにやらせるのは悪いもの」
「それより、なかなかいい線行ってたわよ。どう?演劇やってみない」

「ととととんでもないっ」

可南子はさらに身を縮こませる。

くすり、と瞳子の口元がほころんだ。

 

 

「そうですね。可南子さんが演劇というのも面白いかもしれません。背が高いから、他にはできない役をこなせそうですし」
「ええっ?!」

ちょっと、何を言い出すの!と泡を食う可南子。

「ふーむ…その気があるなら、兼部という手も」

「ぶ、部長っ!…あの、あの私はバスケがやりたくて。それでこんな中途半端な時期に無理を言って入部させていただいたわけですし…演劇部長のご厚意はありがたいのですが、私はそのですね…(あたふた)」

 

…ぷっ。

 

 

「あははははっ、やだ冗談よぉ」
「そうそう、私が可南子ちゃん手放すわけないでしょ。将来有望な部員なんだから」

「え…あ…」
はっと我に返り、可南子は顔を赤らめる。

「も、もうっ、部長…!」

ごめんごめん、とおどける部長の向こうで、

「ふふ、あははっ、いやですわ可南子さんったら…」

瞳子が可笑しそうに笑っていた。

………。
ま、いいか。

 

ふっ、と可南子も微笑んだ。

2006.03.17

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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