ぬいぐるみ・まっくす

 

「うわー、すごい!」

「聞きしにまさる腕前ですわね」
「一目見て、由乃さまとわかるのがすごいですね」
「うん」

令さまの手にした由乃さんぬいぐるみ(たぶん35体目)を囲んで、感嘆の声を上げる面々。

令さまは照れ笑い。

 

 

祐巳は、ぬいぐるみを手に取って、じーっ…。

なにやら物欲しそうな顔。

「あの…令さま」

「ん?ああ、祥子の作ってほしい?」
「えっ!」

どうしてわかったんですか?!という顔。

百面相、健在なり。

 

 

「祐巳。令だって、受験勉強で忙しいのよ。遠慮なさい」

我関せずと、紅茶をすすっていた祥子さまが、カップを置いて、祐巳をたしなめる。

「あ…。すみません、令さま私…」
「いや、このくらいのなら、なんてことないよ」

恐縮してうなだれる祐巳に、令さまが笑う。

「いつだったか、特大サイズの祐巳ちゃんぬいぐるみを頼まれたときに比べたら…」
「れ、令っ!」

 

 

それは内緒だって言ったじゃない!とかなんとか、小声で囁いておられるが、丸聞こえである。

「お、お姉さま…」(←嬉しそう)
「し、知りませんっ」

「………」

「ん?どした、瞳子。壁に向かって立ったりして」
「…別になんでもありません。放っておいてください」

 

瞳子「私は、壁に向かって立つのが好きなんですっ」

2006.03.20

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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