エンカウント

 

「「「次は志摩子お姉さまのクラスのお店にいきたーい」」」
「あら、じゃあ行ってみる?」
「「「はーい♪」」」

校舎内の展示などをざっと回って再び昇降口に戻って来た頃には、3人ともすっかり染まりかけていた。

「………」(←とても面白くない)
乃梨子は拳を握りしめつつ、いつぞやの祐巳さまの気持ちにシンクロ。

祐巳さま、あなたは偉大だった…。

 

 

その時、乃梨子の旧友の1人が「うげっ」と声を上げた。

「ちょ、ちょっと…あれなに」

彼女らの視線の先には。

ど派手なスーツにスキンヘッドとパナマ帽。とどめにサングラスをかけたどう見てもただ者ではない2人組。

それが、なぜか七三ヘアピンとカメラを持った眼鏡の女生徒の取材を受けて、ピースサインをしている。

 

 

「な、何なのかしら、一体」
「あれって、『ヤ』のつく商売の人だよね絶対…」
「何かのアトラクション?…って、あれ?」

振り返ると、乃梨子と志摩子さんが頭を抱えてうずくまっている。

「ど、どうしたんですか?」
「大丈夫ですか?」
「頭でも痛いの、リコ?」

 

 

「え、ええと…」

眉間をもみほぐしながら、なんとか立ち上がる乃梨子。

一方、無言のまま立ち上がった志摩子さんは、うつむけていた顔を上げて、何故かにっこり微笑んだ。

「ごめんなさい。急用ができたみたい。少し待っていてもらえるかしら」

何か逆らいがたいものを感じて、3人はこくこくこくと、首振り人形のように頷いた。

 

その後、「組長とその手下」は、もの凄い勢いでどこかに引っ張られていき、二度と姿を見せなかった。

2006.03.30

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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