友情

 

「さて、と。リコ、私はのどが乾いたわ」
「はぁ?」

眉を寄せる乃梨子の前に、500円玉が飛んでくる。

「わわっ…もう、いきなり投げないでよ」
「ロイヤルミルクティーね」
「どうして私が…」

「おや、人を待たせといてどの口がそんなこと言う。しかも、お代は出してあげようってのよ?」
「…わかった、わかりました。…志摩子さんは?何がいい」

 

 

「それじゃあ、緑茶を」

二人の軽妙なやり取りを微笑みながら見守っていた志摩子は、ごちそうになります、と菫子さんに頭を下げた。

「じゃあ、すぐに行って来るから。…志摩子さんに変なこと言わないでよね」
「わかった、わかった」

しっかり念を押すと、乃梨子は自販機を求めて走っていった。

「あーあ、スカート翻らせちゃって。まったく、はしたないんだから」
「くすくす…」

 

 

乃梨子の姿が見えなくなると、菫子さんは居住まいを正してあらためて頭を下げた。

「いつもあの子がお世話になってます」
「いいえ、こちらこそ。乃梨子には助けられていますから」

志摩子も背筋を伸ばして返礼する。

「本当に?」
「ええ。姉妹のくくりだけではなく…側にいてくれるだけで本当に」
「………」
「乃梨子とめぐり逢わせてくださったマリア様に、心から感謝しています」

 

 

「随分と気に入ってくれているみたいね」
「あら、菫子さんこそ」
「…ふふ。世代を越えた友情ってやつ?それが若さを保つ秘訣かしら」
「まあ…ふふふ」

やがて、缶を抱えた乃梨子が息を切らせて戻ってきた。

「行ってきましたっ…って、何笑ってるんですか志摩子さん。まさかまた、菫子さんが変なこと言ったんじゃ…っ」

志摩子と菫子さんは顔を見合わせて…声を上げて笑った。

 

乃梨子「な、なに、なんなの?し、志摩子さーん…(眉への字)」

2006.4.1

爆笑! くすりっ もえ〜 じんわり つまんない

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