ここから先は、モロねたバレありのコーナーです。ご覧になる際は、どうぞお気を付けて。「イン ライブラリー」までのネタバレがあります。

 

「イン ライブラリー」感想

初めに。 書くのが随分遅くなってしまいました。短編集はどうも一気に読むのが苦手で、延び延びになってしまいました。

イン ライブラリー1 のりしろその1。特筆すべき話はないのですが、乃梨子が非常に魅力的に書かれてます。祐巳の後ろに回って、背中を押してくれちゃうところなんか、本当に可愛い後輩してます。紅・黄薔薇の給仕に歓声上げる様子なんて、チェリーブロッサムからは考えられない姿で。思わず「染まってきたなー…」とかいう感想が漏れました(笑)。よく槍玉に挙がる「どっとも妹に指名した覚えはないし」のくだりは、実際、祐巳の心情としてはまだこんなもんなのかもしれません。祥子さまもそうでしたが、紅薔薇は自分の身に置き換えてみる…っていうのが下手なようで。言い換えると鈍感。なんて罪作りな…。

静なる夜のまぼろし すみません。なんか、ものすごい「やっつけ仕事」っぽいなぁ…とか失礼な感想を持ってしまいました(^^;。静さまの白薔薇さまへの想いがとつとつと語られる…わけなんですが、シチュエーションがとってつけたような…というか、この「マッチ売りの少女」というシチュエーションのために、静さまがとってつけられたというか。話としては、静さまの内面だけでカタがついてしまう。見所といえば、先代・紅薔薇さまと合唱部の部長の会話かな。二次創作屋としては、こういうところこそ見逃せません(笑)。あと、栞さんと静さま(祥子さま、令さま、三奈子さまも)って同学年なんですよね。ついつい忘れがちですけど。それにしても、静さまって真正だったんだなぁ(何のだ。いい話なのにすみません(^^;)。

イン ライブラリー2 瞳子ちゃん好き(つまり私みたいなの)にとっては今回最大のキモ。もう、いまさらという感じなので、一々取り上げませんが、瞳子ちゃんのかわいらしさがすべて詰まったお話。祐巳→瞳子&可南子というのはまったくの未知数ですが、瞳子→祐巳というのはもはや誰も否定できないレベルにまで到達してると思います(笑)。しかし、ここまでやられて気付かない祐巳って…ニブいにも程がある(^^;。

ジョアナ イン ライブラリー2の続きとして見ると、さらに興味深い。終始、瞳子ちゃんの強気な口調で書かれていますが、かえって彼女の脆さ、臆病さを際立たせています。おしむらくは、「なんでこんなに短いのかっ!」ということだけですね(^^;。

イン ライブラリー3 2に続いて瞳子ちゃんバンザイな話。とにかく、最初から最後まで「祐巳さま気付いて」光線が出まくってるんですが、鈍感女王には効果無し(^^;。あわれ瞳子ちゃん。でも、三奈子さまはしっかりわかってくれているぞ! 実は祐巳と瞳子ちゃんの平凡な会話(祥子さまの足取りを追うところ)っていうのは珍しいので、貴重なお話。それにしても、三奈子さまはこのところ株が上がりまくり。

チョコレートコート 結末がわかっているだけに、後味の悪い話。一見、甘そうなタイトルが余計に拍車をかけている。方々で言われてるとおり、これはやっぱり寧子さまが悪いよなぁ…。明らかに浅香よりも真純に惹かれていて、間違いだと気付いたあとも、その構図は変わらなかったわけだから、姉妹解消ができなかったのは、寧子さま自身の弱さということに。浅香も真純もいい子なだけに、余計に救われない話です。しかし、「光の中へ」の裏で、壮絶なロザリオ投げ返しが行われていたかと思うと…ぶるぶる。三奈子さまは、その事実をいつ知ったのでしょうか。あと、コミックス2巻を読み返していて、「黄薔薇革命」は変化のきっかけにはならなかったのかな…と。まあ、浅香としてはきっかけがあったとしても、自分からロザリオを返すことはできなかったでしょうね…。

イン ライブラリー4 瞳子ちゃんがいなくなっちゃったのでやる気なし。…っていうのは冗談で(^^;、書くことがほとんどない、白薔薇がいちゃついてるだけの本当にのりしろなお話(笑)。

桜組伝説 最もマリみてっぽくなく、最もマリみてらしい話。傾向としては、「白き花びら」系の極短編が3本。今野先生は、こういう話を考えるのが好きなんだなぁ…とふと思った。一歩間違えると、モノホンのホラーになってしまうところを「リリアンと桜組」いう設定でギリギリ踏みとどまっている。「桜の埋葬」は埋めたのが櫛でホントによかった…。最後にはこっそり山村先生が久しぶりの登場をしている。

イン ライブラリー5 もう出番はないと思っていたので、瞳子ちゃんカムバックバンザイ(笑)。やっぱり気になって黄薔薇姉妹をだしに帰ってきた…というのが一番しっくりくる。三奈子さまとのやりとりを見ていると。ちゃっかり蔦子さんと真美さんが出ているのが笑える。こんな短い中でもケンカできる黄薔薇は、やっぱりすごいと思う。

図書館の本 短編の中では一番面白かった。祥子さまと見せかけて、実は…というパターンだが、オチは読めてしまった。さすがに、みきが祐巳のママ上だとまでは想像しなかったけど(^^;。なんというか、可南子の父親がらみの話もそうだけれど、ここまで「あり得ない」設定を真面目にやられてしまうと(今までも色々あったけれど、この2つは特に気になった)、なんだか冷めてしまう。あるいは、今回の場合、最後の祐巳の説明が蛇足だったともいえる。「桜組伝説」のように、「あったかもしれない」と「架空の話」のギリギリの境界線を踏み越えて、美しい思い出を台無しにしてしまっている気がする。これだと、体育祭で祥子さまを見たママ上がどう思ったのか、とか余分なつっこみが出てしまう。…とはいうものの、ラストが判明するまでは、いかにもリリアンらしい「淡い憧れ」を描いたいいお話だった。

イン ライブラリー6 「大きなかぶ」。これがすべて。祥子さま、こんな童謡(昔話?)知ってるんだぁ…と、ちょっとびっくり。初等部でおゆうぎをしたとか。

可南子ちゃんが… 全然出てこないので、二次創作屋としては困った。4コマで登場させようと試みるも、どうもしっくりこない。早く本編で再登場してもらいたいです。ともあれ、瞳子ちゃんに関しては、にやけっぱなしでした(笑)。

 

 

「特別でないただの一日」感想

初めに 久しぶりに(レディ、Go!以来だからちょうど一年くらい)、マリみてを読んだ気がしました。私がこの作品に求めていたのは、これです。これなんです!読み終わってそう思いました。本当に気分はすっきりさわやか。楽しかったです。

とりかえばや物語 実は私、このお話よく知らなかったんですが、掲示板では相当前から名前が取りざたされてました。ファンの予想勝ちというか、祥子さまじゃないけど、これしかない!っていう感じだったのかもしれません。…しかしながら、冒頭でその必然性をしっかり語っていた割には、「劇はすっぱりカットかよ」(笑)。これはもう、シンデレラに続き伝統なのかも。でも、劇中劇を延々とやられても、チャオ・ソレッラ!の二の舞になっちゃうので正解なのかもしれません。祐麒が全然存在意義がなかったのが、可哀想といえば可哀想でしたが(笑)。なんか、色々と苦悩してたはずなんですけどね(^^;。

花寺ご一行様 見事に最初だけでしたね(^^;。目立ってたのは、アリスと日光・月光(笑)。普通にマリみての中で「我は」とか喋ってるのを見ると吹き出します(笑)。あと、意外なところでは高田君。瞳子ちゃんのお相手ということで、オイシイ場面がいくつか。「ママ」はねーだろ、ママは(笑)。それに即座に「パパ」でフォローする瞳子ちゃん、激萌え(^^)。祐麒は意外なほど存在感なかったなー。小林君はもっとだけど。まあ、これが「正しい」マリみてかも(^^;。あと、ギンナン蹴っ飛ばしたところを志摩子さんが見てなくて良かったね、祐麒(笑)。

祥子さま 決めるところをビシッと決める。今回はまさしく「紅薔薇さま」の称号に相応しい役回りばかりでした。姉として、生徒会長として、七面六臂の活躍ぶりでした。特に、瞳子ちゃんをフォローする祐巳をさりげなく導いているあたりとか、同じく可南子ちゃんに対する気配りとか、先代・紅薔薇さまを思わせました。それだけに、ラストのセリフは、実は弱くて脆い祥子さまが一大決心をしてのものだったんだろうなぁ…と、ジーンときちゃいましたね。本当はずっと祐巳を抱き返していたかったのに、心を(自分に対して)鬼にしてのお姉さまとしての言葉。うーん、見事な引きだ。挿絵にもそれが現れていて、P53の祥子さま&令さまは、まるっきり蓉子さま&江利子さま。目だけ交換したんじゃないかってほど(笑)。ラストはいいんだけど、処理のせいかこわーっ(笑)。すっかり、いいお姉さまを演じている今回の祥子さまでした。「25分は遅れても〜」のセリフには、惚れました(^^)。

令さま 出番少なっ(^^;。それでいて、可南子ちゃん相手に仕掛けたちょっとしたイタズラからオロオロするところばかりが強調されちゃって、すっかりへた令(笑)。リリアンの制服での挿絵登場は、結構久しぶりで凛々しいのにね(笑)。まあ、黄薔薇さんちは由乃さんの妹問題で一悶着あるだろうから、今回はこんなところでしょうか。

志摩子さん アニメのせいか、すごく普通っぽい感じがとてもホッとします。江利子さまの名前を聞いて過剰反応する由乃さんを見て、ちょっぴりびっくりしてるとことかね。にしても、劇の役が「帝」だったりして、イベントでは志摩子さんはイロモノと決まってるんでしょうか(笑)。あと、白薔薇姉妹は今回さりげなーくイチャイチャしまくってますよね(笑)。登場するシーンではほとんど乃梨子と一緒で、この辺追及してみると面白いのかもしれない(^^)。にしても一人だけ浴衣のシーンとかあるのに挿絵がないのはもったいないというか(^^;。

由乃さん うーん、すっかり祐巳の横というポジションを確立してしまいましたね。つかず離れず、良い良い。出番は少ないようでいて、さらりと重要なことを言ってたり、面白いことを言ってたりと、たとえ脇の話でも存在感があります。にしても一年…かぁ。彼女を見ていると、とても信じられません(笑)。ハッピ姿が似合いすぎ。挿絵も「キレ者軍師」って感じで、貫禄でいったら二年生3人の中でもトップクラスだろうな。なのに「いやーん」だもんなぁ(笑)。彼女のこういうところ、すごく好きです。

乃梨子 ええ娘や(ホロリ)。縁の下の力持ち賞っていうのがあったら、今回、迷わず送りたいですね。瞳子への心配りといい、せっかく4枚もらったチケットを2枚だけ取って可南子に返す優しさといい、立ち位置はクールっぽいのに、一番の人情家って感じで、あちこち走り回ってました。瞳子にも可南子にも信頼されている感じがします。ところで、妹ってのは学園祭に来てたんですかね。非常に気になります。あと、志摩子さんともども、「組長」コンビを発見して立ちくらみ起こしてたんじゃないかと、想像するだに笑えます(笑)。いや、今回一気に乃梨子好きになっちゃいました。

可南子 あっさりと家庭の事情が判明、そして問題解決。あっけないほどでしたが、こんなところで良かった気もします。序盤を見た限りでは、もっと長く深く根ざした問題だと思っていたのですが、実はここ数年に端を発したことだったんですね。しかしながら、これが原因で「さつさつ」のような行動に走るのは、ちょっと無理があるような気がします。慕っていた先輩「夕子」が祐巳にダブって、祐巳こそは夕子のようには変わらないでほしい…という願望からという動機付けなんでしょうが。ちと弱いかな。ポイントは、祐巳への「背後霊」と男嫌いが、同じようでいて別の根っこから来ているところ。前者は夕子に対して、後者は父親に対して。それがどうもしっくり重ならない。特にこれまでの男嫌いの描写を見ているに、青い顔をして保健室に入った父を心配して駆け込むところとか、そのあとの父に対する「大好きだった」という独白にしても、少し弱い気がする。たとえば、祥子さまの男嫌いの理由と比べて。この場合、「父親」に対しての嫌悪にはなり得るけれど、「男」全体へ向かうには弱い。一方で裏切られた(との思い込み)夕子への思いから生じる祐巳への妄想もあるわけで、これは両立しないのではないかなと。うまく言えないんですが。或いは、夕子の影響で、前々から男に対する先入観が植え付けられていたっていうのはあり得るけれど。

すべては彼女の思い込みで、実は思い、思われる関係だった…というわけで、そのネタばらしもあっさり目。実は一番不幸なのは可南子の母親なんじゃないか?(^^; どうも、可南子がらみの話は後付けだったんじゃないかって気がする。今野先生も、最初は「さつさつ」オンリーキャラのつもりだったんじゃないかなぁ…。

そして、実はオチャメだった一面も判明(笑)。「私の身長がこんなに伸びたのも、劇のセリフをうまくいえないのも、全部お父さんが悪いの」…気にしてたんだね、背が高いの(^^;。アリスからは「ハリガネ」とか言われちゃうしなぁ。前から思っていたことですが、彼女ってとても「幼い」んですよね。みんなの前で地団駄踏んじゃうところとか。最後に乃梨子に報告する素直さとか。次巻からは、険が取れて、そんな可愛い部分が出てくるといいですね。

蓉子さま&聖さま あらまぁ…って感じのご登場。聖さまはもはやいつものことですが、蓉子さまはパラソル以来なんですねぇ。そして、やっぱり本編には縁がない江利子さま(^^;。もはや作者が意固地になってるとしか思えません(笑)。まあ、ここで江利子さままで出てくると、ご本人の言うとおりややこしくなってしょうがないので、仕方ない処置でしょう。

しかし、なんですかこのゴージャスさは。聖蓉な方には垂涎もののシチュエーションじゃないですか(笑)。てっきり、聖さまは景さん連れてくると思ったんだけどなぁ。いや、それにしてもやっぱりいい、この二人。出てきた瞬間から、まさに独壇場。あのまま視点変更しなければ、この巻を乗っ取っちゃうんじゃないかって存在感です(笑)。おそるべし先代パワー!蓉子さま大好き(笑)。また、絵面を思い浮かべると面白すぎるものが多くて、私服で(それもおそらく蓉子さまはスカート)反復横飛びを3人並んでやっちゃうって、どんなシーンだよ(笑)。ああーっ、挿絵がほしいココ!編集さんはどこ見てんのっ?!(笑) 聖さまはともかく、蓉子さまも「そうね」とか簡単にやる気になるし…やっぱりオチャメだ、蓉子さま!ステキです、蓉子さま(笑)。いやいやいや、期待してなかっただけに、大満足の出番でした。これであと10年は戦える(笑)。この二人のせいで、夕子さんが子持ちのお母さんなんて、とてもアンビリーバボーですよ、ホント(^^;。

真美さん&蔦子さん 「あぶないあぶない」、「かろうじて滑り込んだわ…」って感じの登場シーンでした(^^;。今回はホントに脇。一年前から比べると凋落ぶりがすごいですが、存在すら忘れられている桂さんよりはマシか…(遠い目)。しかし、真美さんがめっきり三奈子さまに似てきたなぁ(笑)。

柏木さん この人も相変わらずオイシすぎる。実は作者にとても愛されてるんじゃないかと思う。だって、格好いいもん。面白いし(笑)。にしてもチケット12枚って、誰からもらってんだ?(^^;

祐巳&瞳子 …まず言わせてください。

瞳子ちゃん、らぶっ!激らぶぅっ!!

L・O・V・E、あいらぶ瞳子ちゃん〜!!

…あと100行くらい叫びたいんですが、まあそれは置いて。いやはや、今回は完全にやられました。なんですか、これは。今野先生は瞳子好きを悶え殺すおつもりかっ?!よかろう、ならば望むところよっ! と言わんばかりの瞳子らぶパワー全開。中盤から後半のイチャつきっぷりは、もう見てられないほどで、転がりまくってました(笑)。

一言いわせてください。

今野先生ありがとう!

レディ・Go!以来の鬱憤をすべて吹き飛ばす満足度でした。いやー、可愛い可愛い。この可愛さは尋常じゃないですよ。全編通して「祐巳さま構って」光線が出まくりなんですけど(笑)。冒頭を読んだ限りでは、今回は可南子ちゃんの家庭の事情がメインで、完全に「脇」っぽかったので、暗澹たる気分になったのですが、ところがどっこい。演劇部の役を降板になってから雲行きが変わりました。実は、このシーンは今後を決めかねない分岐点で、祐巳の一挙手一投足に「瞳子ちゃん同様」どきどきだったのですが…やった(T▽T)。祐巳はやってくれました。祥子さま曰く「最善の道」を。これで、あとは安心して見ていられました。

ところが、これだけでも今巻は満足だったのに、畳みかけるような瞳子攻撃!「ふてくされた顔で、手をギュッ」

くあぁぁぁぁぁっっっっっ!!(悶え死に)

はぁはぁ…。もうすでにその前の「遅刻してきたくせに」=「ずっと祐巳さまを探してました」でモエモエなのに!エイミーの衣装で祐巳と学園祭デート!そして数珠リオ!!(くらっ)…思わず立ちくらみしそうな展開ですな、こりゃ(笑)。

今回、祐巳の人気の高さが、はっきりと語られましたね。今までもありましたけど、こうハッキリと描かれたのは初めてじゃないかと。一年生だけじゃなく、花寺の男子にまで…まるで4コマのネタのように「バトルロイヤル」って(^^;。祐巳自身は自覚がないようですが、今回は瞳子ちゃんのことはもちろん、立派な紅薔薇のつぼみだったと思います。 でも、祥子さまのことを考えると、「素」に戻ってしまう。それだけに、ラストの祥子さまのセリフは「早く気付きなさい」っていうことのようにも聞こえました。そして、過去の自身の経験も踏まえて、自分の卒業後を覚悟させるような。

一方、瞳子は今回とうとう「電動ドリル」呼ばわり(笑)。「ハリガネとバネ」とかもありましたが、聖さまのこの一言が強烈すぎ(笑)。

妹問題 個人的な意見ですが、今回でほぼ方向性は見えたかなと。まず最初に断っておくと、私は瞳子好きです。でも、だからといって、可南子を否定するわけでもありません。二人ともに、今後とも山百合会に関わっていってほしいと思います。一年椿組の3人というのは、それくらいもう定位置になっていると思います。

それを踏まえた上で、今回気になった個所をいくつか

・「私ったら。どうして祐巳さまに―――」(乃梨子)

・「祐巳さんが胸はってドーンと構えていなくちゃ、瞳子ちゃんのやる気が失せるわよ」(由乃)

・「でも。たぶん、あなたは瞳子ちゃんのために一番いい選択をしたんだわ」(祥子)

・「祐巳さまに何か言われたから瞳子は奮起したんだ、って私は思っていたんですけれど」(乃梨子)

・「祐巳さまもご存じないんですか」(乃梨子)

・「この子、背後霊ちゃんだよね」(聖)

・「先にお行きなさい。私たちは後から追いかけるから」(祥子)

・「ああ、あの電動ドリルか」(聖)

・(楽屋入り、15分ほど遅れてもいいですか)「…いいわよ」(祥子)

・「瞳子ちゃん、喜んでいたでしょう?祐巳が自分の作った物を選んで」(祥子)

・「あなた、妹をつくりなさい」(祥子)

当事者以外のものを抜粋してみました。

祥子さまは気付いていて、誘導している感じがします。聖さまは傍観して楽しんでいる感じ。そして、乃梨子は無意識に感じ取っている。実は、彼女は今回、祐巳の妹問題に関して最重要人物なんじゃないかと。中でも、瞳子のことを祐巳に相談するあたりはきわめて暗喩的で、「なぜ祐巳だったのか」というのを考えると、乃梨子は無意識に祐巳を「瞳子の姉」的ポジションで捉えていたのではないかと。レイニー〜パラソル間での紆余曲折を見ている彼女だからこそ、そう思ったのではないかなと。

当事者の思惑はどうでしょう。

可南子は、夕子との和解で、気持ちに一つ区切りができたでしょう。今後、それがどう変化するかは未知数です。

一方で祐巳はいまだ、可南子、瞳子どちらも妹候補としては見ていません。あったとしても気付いていないというのが正しいでしょうか。可能性的には半々くらいかな?ただ、ここに新たな別の候補…というのは考えづらいですね。

で、瞳子ですが。これはもう、かなり意識しているといえるでしょう。その描写は今回、数多く見受けられますが、さっと流しているようで、実は重要なのは、

・「お取り込み中みたいだから失礼します、って」(二年松組・出納係)

・祐巳が手を上げて〜瞳子ちゃんはプイッと横を向いて、そのまま駆けていってしまった。

・絶対に振り向いてやるものか、ってそんな風にさえ見えた。

これらはすべて、

・祐巳のファンの一年生がキャーキャー言っている

・祥子さまと可南子ちゃんと祐巳、三人で人の波をかいくぐりながら

・腕に腕をからませて、そのまま楽屋へ

と、嫉妬心から来ているんだろうなぁ…と初々しくも微笑ましい瞳子ちゃんの感情の発露であろうと。その一方で、

・「…またそういう無防備な顔をする」(瞳子)

で、一瞬、後ろめたさのようなものも感じられます。これは、パラソルで「うっかり」祖父の経営する山奥の診療所のことを口走ってしまったあたりと似ているのかなと。

…さてさて、今後一体どうなるのか。由乃さんの妹も含めて、次巻がいよいよ楽しみになってきました。

 

10/3追記。

上で、可南子ちゃんを「幼い」と表現しましたが、同様に瞳子も一面で「幼い」ですよね。祐麒の「幼稚園児みたいな感じ」という評は、まさに的を射ていると思います。たぶん、彼女は本当はすごく臆病なんでしょうね、人間関係に。今回、クラスメイトと演劇部員としっくり行かないことが描写されていましたが、実はそれは「達観」なのではなくて「人見知り」に近いものなんじゃないかなと。「孤高」を装ってはいるけど、実は自分を理解して、受け入れてくれる人を求めている。古い付き合いの美幸さん、敦子さんは別格ですが、入学時に祐巳を過剰なまでに牽制したのも、自分が当時唯一心から慕っていた祥子さまを奪われたくないという、某西園寺嬢と通じる感情からでしょう。しかし、祐巳は本当は「自分のことを一番にわかってくれる人」かもしれないと気付いた。ありのままの自分を受け入れてくれる人なのではないかと気付いた。それなのに、今までの自分の数々の行いが、彼女をとても消極的な考えに向かわせている。「祐巳さまは自分のことが嫌い」だと真剣に悩んでいる節がある。それゆえの

・「私なんかがお邪魔したら、ご迷惑でしょう」

という言葉であり、また同時に、

・「私は必要ないということですか」

と必要とされないことに対する恐怖心の発露だったんではないかなー。

また、「人の陰口は言いたくない」のが身上の彼女が、演劇部の先輩(たぶん)への不満を述べ立てるのは、相手が祐巳だからこその「甘え」でもあるように思えます。なぜなら、それが孤立しがちな彼女の本心だから。こういうところはまさに、優しいお姉さんに手を引いてくれるのを待っている「幼稚園児」の姿が目に浮かびます。そして、「ふてくされた顔で、手をギュッ」につながると。

・「可愛くないなあ。こういうときは黙ってごちそうさまでしたって言えばいいのに」

という祐巳に対して、わざわざ「ごちそうさまでした」という伝言を残したのも、「可愛くなりたい」という切なる気持ちからの行動ではないでしょうか。

そう考えると、挿絵のものすごく不機嫌そうな顔も、本当は泣きそうになるのをこらえているようにも見えてきます(ほとんど病気(^^;)。

まあ、ぐだぐだ書きましたが、瞳子好きの妄想と思って聞き流してください(笑)。でも、こんなどこか似ている2人だから、瞳子と可南子は仲良くなれるんじゃないかと思っています。乃梨子という最強の友人もいるしね。

 

 

プレミアムブック「Answer」感想

実は。 買うつもりなかったんですよ、最初は。パラパラっとめくってみて、ああ、これなら買わなくてもいいや…と思ったのですが。なんと巻末に原作の短編が載っているではありませんか。しかも、中身は蓉子さまと祥子さまとの出会い。それだけならまだしも、いきなり先代・紅薔薇さまと白薔薇さまが出てる…買うしか!(笑)

ある意味 ネタの宝庫ですしね。これは4コマ書く身としては、ネタの幅を広げるためにも購入せねば…と。私の場合、各キャラクター同士のからみ(互いを呼ぶときのニュアンスとか雰囲気とか)があるかないかでネタの幅が広がるんですよ。可南子をなかなか書かないのも、実は山百合会や他の登場人物との関わりがないので、書くに書けないという事情があるんです。というわけで…。

うしっ! 先代・紅薔薇、白薔薇分補給(笑)。今まで、「白き花びら」のみに頼らざるを得なかった先代像&つぼみだった頃の蓉子さま、聖さまの輪郭がわんさか。これだけでも買ったかいがありました。相変わらず黄薔薇ファミリーは話でしか出てこないのですが(^^;、それでも性格の一部を表すネタがあったりで、満足です。…しかし、令獲得のために、姉妹でプレッシャーかけに行ってるとは…(笑)。さすが江利子さま、そしてそのお姉さま。結構以外だったのは、江利子さまってこういうことに他人の手を借りないんじゃないかと思っていたからなんですが、それだけ先代・黄薔薇さまが個性的な方なんだろうなと、勝手に想像。まあ、江利子さまを妹にしようって方ですからね(笑)。

紅&白 いやはや、それにしても先代はさらなる超人ぞろいのようですね(笑)。予想はしてましたが。正直、こんな高校3年生いねぇ!(笑)とか思うのですが、まあそこはそれ、マリみてですから。でも、やはりなんとなく蓉子さま&聖さまは先代の血筋だな…と納得する面も。似てますよね、この悪巧みしてるあたりとか(笑)。ぜひ、先代黄薔薇さまとのからみも読んでみたい…。

祥子さま なんというか、今回一番の驚き。なんと、ご自分から行動を起こされるとは…。ラストはびっくりでした。てっきり、蓉子さまに手玉に取られて、乗せられて…という感じで姉妹になったのかな、と漠然と考えていたので、これは意外でした。蓉子さまの方が面食らってましたし。「祥子の習い事は全部辞めさせた」というのは、比喩的なものだったんですね。この祥子さま、実に新入生っぽくていいです。そして蓉子さま、実は江利子さまに似てるよ(笑)。興味を持ったら突っ走るあたりなんか特に(笑)。

満足。 いやはや、実に堪能してしまいました。短いけれど、二次創作作家にとってはネタの宝庫でした(笑)。これで、先代のいた頃をネタにしやすくなりました。それにしても、久しぶりの蓉子さま主役だったなぁ…うむうむ。

 

 

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